初のインターハイ女王となった常盤木学園。彼女たちはいかにして頂点へ上り詰めたのか

カテゴリ:高校・ユース・その他

西森彰

2018年08月07日

夏の日本一を成し遂げ、次なる目標は冬の選手権と皇后杯での躍進!

今大会の常盤木学園(緑)は相手のスカウティングを徹底。その効果は絶大で日ノ本学園(白)との決勝戦でも周到な準備が活きた。写真:西森彰

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 ハイレベルなリーグで揉まれてきた経験に加え、今大会は勢いに乗る点を強く意識したのもプラスに働いた。

「大人のチームを相手にしているとこちらが挑戦する立場ですが、高校生のチームは必死で向かってくるし、1点を取ると応援も含めて盛り上がってノッてくる。

 これまでは、その『ノリ』に負けていた部分もあったと思います。だから、先にこっちが点をとって盛り上がろう、と。アディショナルタイムに2点を取って逆転した十文字戦(1回戦/4-3)で、チームに団結と自信が生まれました」(大河内友貴)
 
 また、大会前にチームキャプテンで正GKの今井佑香が負傷。大会中にも沖野が接触プレーで傷むなど、アクシデントはあった。それでも各自が「しっかりしなければならない」と意識を高め、全選手がしっかりと役目をまっとうした点も大きかった。
 
 これまでの積み重ねが実を結んだなかで、対戦相手のスカウティングも抜かりなく行なった点も見逃せない。

 藤枝順心との準決勝では、相手のアンカー・森藤凛が繰り出す大きなサイドチェンジに制限をかけたことが勝利に結びついた。

 日ノ本学園との決勝戦では、大会得点王に輝いた久永望生のドリブルを封鎖。フィジカルに優れ、大舞台に強い途中出場の澁川鈴菜には、チャレンジ&カバーで対応することを試合前から確認していた。

 球離れのいいプレーで危険な雰囲気を醸し出していた上田佳奈に対しては、「クーリングブレイクを利用して、みんなで対応策を話し合った」(大河内)。
 
 その結果、押され気味の前半35分、左からの低いクロスに「昨日の準決勝で得点できなかったので、今日こそはという気持ちだった」というFWの中村恵実が、頭で合わせて先制。常盤木学園はチーム初のシュートを得点に結びつけた。

 今大会初めてリードを許した日ノ本学園の焦りを誘いながら、前線のスピードを活かしたカウンターから2点加えてタイムアップの笛を聞いた。
 
 夏を制した常盤木学園。今後の目標を聞くと、選手の答えは「やっぱり選手権との二冠ですね」(大河内)だったが、阿部監督は違った。
 
「そうだね。冬には皇后杯があるからね。去年も、ちょうどここ(藤枝総合運動公園サッカー場)で長野パルセイロに負けたんです(3回戦・0-3)。今年も、ひとつでも多くなでしこリーグのチームを倒したい」
 
 目標は、高校の頂点に留まらない。日本一、そして世界を舞台に活躍できる選手の育成。鮫島彩(INAC神戸)をはじめ、多くのなでしこたちを輩出してきた名将の姿勢に率いられるチームはどのような成長を遂げるのか。彼女たちの今後が楽しみだ。

取材・文●西森彰(フリーライター)
 
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