【セルジオ越後の天国と地獄】世界で勝つにはメディアも本来の役割を果たせ

カテゴリ:特集

週刊サッカーダイジェスト編集部

2014年07月04日

親善試合での勝利に酔った報道をしているようでは、本来の役割を果たせない。

コロンビアとの実力の差は明らかだった。日本の報道は危機感に乏しかったわざるを得ないよ。(C) SOCCER DIGEST

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 メディアに関して言えば、大会中の報道のあり方にも注文をつけたい。多くのテレビ局や新聞、雑誌が「コロンビア戦に勝利すれば突破が見える」と煽っていたけど、日本は初戦でコートジボワールに逆転負けし、第2戦で退場者を出した10人のギリシャに勝ち切れなかったんだ。そんなチームが、2連勝していたコロンビアに勝つ確率がどれだけあったのだろう。応援するスタンスが日本の文化なのかもしれないけど、勝機が薄い相手に、さも勝てるような報道をするのは間違っている。しっかり現実を伝えるべきだったんだ。
 
 まずはメディアが、こうした姿勢を改めるべきだろう。これまでの4年間を振り返ると、あらゆるメディアが6人交代の親善試合での勝利に酔い、「日本は強い」と祭り上げてきた。昨年のベルギー戦やオランダ戦が典型的な例だ。ベルギー戦は前半を1-1で折り返し、大量にメンバーを入れ替えた後半に2点を追加して勝った。この試合は日本のウイークポイントであるスタミナを後半の大量交代で補えたから勝てただけ。
 
 2-2で引き分けたオランダ戦も同じで、前半だけを見れば1-2だ。3人交代の公式戦だったら、追いつけなかった可能性は否定できないよね。それでもメディアは「強豪相手に結果を出した」とぶち上げていた。
 
 さらに言えば、日本が世界レベルの真剣勝負で1勝もしていないことにも目をつぶっていたよね。去年のコンフェデレーションズ・カップは、ブラジル、イタリア、メキシコに3連敗だった。ブラジル戦はネイマールに先制点を奪われ、完全に雰囲気に呑まれたまま0-3で敗れた。そのショックで開き直ったのか、イタリア戦は攻撃に出たけど、コンディショニングに失敗してヘロヘロな相手にも3-4と点の取り合いで負けている。メキシコ戦も2点を先行され、岡崎が一矢報いただけだった。
 
 お互いにスタメンが出場する前半で良いサッカーを見せた試合はほとんどなかったし、世界大会では1勝すら挙げられなかった。こうした事実を、もっと大々的に報じれば、選手や監督、協会がチームの実力を客観的に見つめ、軌道修正する機会が持てる。その繰り返しでチームは力をつけていくものなんだ。
 
 メディアの仕事は応援ではなく、批評だ。日本サッカーを強くしたいなら、本来の役割を果たすべきだよ。
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