森保新監督の指導哲学は「ドーハの悲劇」が原点!若き"ポイチ"は自己犠牲の塊だった

カテゴリ:日本代表

佐藤俊

2018年07月27日

「ドーハの悲劇」ではなく、「ドーハの奇跡」を実現してほしい

広島を3度のJ1制覇に導くなど、その手腕は確かだ。(C)SOCCER DIGEST

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 実際、ラモスが攻撃の能力をいかんなく発揮できたのは、森保の攻守における心身的なサポートがあったからであり、そのことを改めて強く印象付けた試合になった。
 
 森保が選手として、最も大きな影響を受けたのはイラク戦である。
 いわゆる「ドーハの悲劇」だ。
 
 アディショナルタイムまで2-1でリードし、ラストプレーで同点にされて日本サッカー史上初のワールドカップ出場の夢が断たれてしまった。ピッチに座り込むラモスの姿が印象に残っている人が多いだろうが、森保はこの時、勝負の厳しさ、勝たないと何も残らないことを痛感したという。それから「勝つために何をすべきか」という意識を常に持ち続けた。森保の「監督哲学」ともいえるもののベースがこの経験によって築かれたと言ってもいい。
 
 広島時代は、前任者のペトロヴィッチ監督の攻撃的なスタイルを前面に出したサッカーから守備を組織化しつつ、臨機応変に戦えるようにチームを改革した。特定の選手に頼ったり、スタメンを固定するのではなく、タスクをこなし、動ける選手を積極的に起用するなどチームに競争原理を持ち込み、活性化した。そうして、「負けない工夫」をして、どんな状況でも「勝てるチーム」へと変えていったのだ。
 
 それがドーハを経て、監督としての経験を積んできた森保の理想のチーム像だ。
 
 日本代表でも、それはブレることはないだろう。サッカーのスタイルは93年当時から大きく変化したが、勝つためにすべきことは変わらない。
 
 日本代表はこれから世代交代が進行する。
 U-21代表の監督も兼任する森保監督は、幅広い年齢層から多くの選手を見ていくことになるだろうが、25年前の自分のように無名でもピッチで輝く第2のポイチを見つけてほしいなと思う。そういう選手とともに日本代表監督として因縁の地・カタールでワールドカップを迎えるのは、森保監督にとって大きなチャレンジになる。途中登板ではなく、4年間を見据えて選ばれた最初の日本人監督としてワールドカップの舞台に立ち、「ドーハの悲劇」ではなく、「ドーハの奇跡」を実現してほしい。
 
文●佐藤俊(スポーツライター)
 
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