【ロシア後】代表刷新へ! GK、DFに楽しみな素材が揃う一方で、長所だった攻撃面が…

カテゴリ:日本代表

加部 究

2018年07月05日

来年1月のアジアカップを見据えて代謝を先送りすれば、将来に大きなツケが回る!?

次のワールドカップは「考えられない」という本田(写真左)。中島(写真右)や堂安ら、若い世代の台頭が必要だ。写真:JMPA代表撮影(滝川敏之)

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 過去にも同じような転機は訪れた。特に初めて日本を訪れる外国人監督は、独自の着眼で色を出そうとする傾向が強い。際立って大胆だったのは、1994年ドーハの悲劇を経て就任したファルカンで、20歳の岩本輝雄に10番を託すなど新顔が並んだ。また前回ブラジル・ワールドカップ終了後に着任したハビエル・アギーレも、独特のビジョンに即して斬新な人選をした。一方ベスト16に進出した南アフリカ・ワールドカップ後に千葉の監督から転身したイビチャ・オシムは、Jリーグ時代の経験を踏まえ、まずは前所属チームの選手たちを基盤に据えて戦術を浸透させようと試みた。
 
 明白なのは、次期監督が誰でも最初は困難に直面し、成果を見るには時間を要すということだ。むしろ翌年1月のアジアカップを見据えて代謝を先送りにすれば、将来に大きなツケを回すことになりかねない。それでも現状で光明と言えるのは、より経験を必要として日本の弱点だった中央の守備に関わるポジションに、楽しみな素材が揃っていることだ。
 
 まずGKは、リオ五輪を経てロシア・ワールドカップの代表にも選ばれた中村航輔が、今後10年間以上フル稼働を望めるし、下からは東京五輪世代で196センチの長身に恵まれた波多野豪が追いかける。またセンターバックは、昌子源、植田直通の鹿島コンビが4年後に円熟期を迎えるはずで、同時に突き上げも活発だ。
 
 センターバックで難しいのは、国際レベルとJリーグでは対峙するストライカーのサイズや特徴が異なり、求められる要素にも乖離が生まれがちなところだが、冨安健洋はすでにシント=トロイデン(ベルギー)で経験を重ねている。また貴重なレフティでボランチとの兼用が可能な中山雄太や、同じく高さと攻撃力も備えた板倉滉もJ1でキャリアを積んでいる。
 
 GKとセンターバックは、いずれも途中からの代えが難しいが、新監督は嬉しい悲鳴を上げることになるのかもしれない。さらに守備力を備えたアンカータイプは、なかなか発掘が難しいが、ロシア切符獲得に貢献した井手口陽介がリーズに移籍すると、ガンバ大阪では後輩の市丸瑞希が頭角を表わしポジションを掴んだ。
 
 一方攻撃の起点としては、大島僚太の成長が著しい。守備から攻撃に転じる切り替えのスイッチを入れるだけでなく、最近ではフィニッシュに直結する凄みも見せるようになった。
 
 逆に日本の長所だった攻撃面でのタレントがやや枯渇気味。先物買いで久保建英に熱視線が集中しがちだが、まずは欧州で結果を出しつつある堂安律、中島翔哉、伊藤達哉らに起爆剤の役割を期待したい。
 
 そして次期リーダーとして欧州戦線でもリードしていってほしいのが柴崎岳である。寡黙だが、プレーの一つひとつにはチームを鼓舞するメッセージが込められている。さらに武藤嘉紀、宇佐美貴史、杉本健勇、小林祐希ら同じプラチナ世代や、巻き返しを期す久保裕也、南野拓実からも集大成の輝きを見たい。
 
文●加部 究(スポーツライター)

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