【ロシア後】代表刷新へ! GK、DFに楽しみな素材が揃う一方で、長所だった攻撃面が…

カテゴリ:日本代表

加部 究

2018年07月05日

「ジーコ後」と同様に、時代の転換期を迎える日本代表

ワールドカップでの好パフォーマンスもあり、海外クラブからの関心も寄せられる昌子。次代の日本代表の担い手となり得る存在だ。写真:JMPA代表撮影(滝川敏之)

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 タイトルは奪うより守る方が難しい――。ボクシング界の格言は、サッカー界にも通じる。黄金期を切り拓いても、それを継続するには計画的な代謝が要る。英雄たちの栄誉を満喫し過ぎると、時には取り返しのつかない低迷に陥ることになるのだ。
 
 ワールドカップの連覇は2度あるが、それは草創期(1934、38年大会イタリア)と、半世紀以上も前(1958、62年大会ブラジル)の話である。最近では2008年欧州→2010年世界→2012年欧州と、大舞台3連覇のスペインの栄光が顕著だが、ブラジル・ワールドカップではグループリーグで敗退した。1998年に世界を、その2年後には欧州を制し、2002年には円熟の境地に達するはずだったフランスも、欧州チャンピオンズ・リーグ決勝でスーパーボレーを突き刺したジネディーヌ・ジダンが、日韓ワールドカップ直前の練習試合で故障し、やはりノックアウトステージ突入前に帰途に着いた。
 
 日本のサッカー史が一変したのは、Jリーグが創設され、1996年にアトランタ五輪への出場を果たしてからである。それまで28年間も世界の舞台から遠ざかっていたのに、そこからは五輪、ワールドカップともに6大会連続で皆勤を続けている。五輪で世界と戦った経験をワールドカップで活かす流れが、安定的に継続されてきた。
 
 アトランタ五輪組のうち5人が2年後にはフランス・ワールドカップで戦い、次は同じフィリップ・トルシエ体制で臨んだこともあり、シドニー五輪(2000年)組からは8人が日韓ワールドカップのメンバーに引き上げられた。本来なら直前の病気で外れた高原直泰も含まれていたから、半数近くが五輪→ワールドカップの道を歩むはずだった。
 
 だが当時五輪代表の山本昌邦監督が「アテネ経由ドイツ行き」を口癖にしてきた2004年→2006年の抜擢は今野泰幸と駒野友一だけで(OAの小野伸二は除く)、追加招集の茂庭照幸を加えても3人に止まった。シドニー組が経験を重ねて成熟するドイツ・ワールドカップは、最大の収穫を望めるはずだった。ところが、トルシエ時代の主力を引き継いだジーコ体制は1分2敗の惨敗で閉幕する。アトランタ五輪から新しい領域へと牽引した中田英寿の引退という節目を示す出来事もあり、そこでひとつの時代が終焉を迎えた。
 
 次の時代を担ったのは、2008年北京五輪で3連敗を経験した選手たちだった。北京世代は、屈辱をバネに次々に日本を飛び出し世界に挑んだ。2年後の南アフリカ・ワールドカップに出場したのは5人。長友佑都がインテル、内田篤人がシャルケ、本田圭佑がミランとビッグクラブとの契約を果たし、やがて岡崎慎司はレスターでプレミア制覇を経験するなど、歴史を塗り替える快挙が続いた。
 
 南アメンバーからは漏れたが、香川真司も大会直後にはドルトムントで大ブレイクを果たしている。さらにロンドン五輪(2012年)からもブラジル・ワールドカップ(2014年)には5人が引き上げられるが、今回のロシア・ワールドカップでは北京世代が依然中核を占める一方で、2年前のリオ五輪からの昇格は3人に止まった。こうして日本サッカーは「ジーコ後」と同じように時代の転換期を迎え、ロシア後の代表刷新は喫緊のテーマとなった。
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