脅威のマネ、スピード溢れる選手をどう封じるか!?

今回は登場したエースのマネ。図抜けた存在感を示し、攻撃に厚みと深み、そして破壊力を加える。リバプールの時にはひと味違う彼の姿が、W杯では見られそうだ。日本には、入念な対策が必要だ。 (C) REUTERS/AFLO
エースのマネの出来はどうだったのだろうか? ボールを持った時の技術、展開力、突破力、味方への影響力……全てがハイレベルだった。1対1だと、クロアチア代表クラスの選手でも太刀打ちできないほどだ。
この試合では、センターと左サイドでプレーしていたが、どちらかといえば、サイドにいる時の方が脅威だった。競り合いでも、相手の方が有利そうに見えながら、最後のところで一歩抜け出して突破してしまう。一方で、センターにポジションを取っている時はあまりボールに触れられず、少し窮屈そうにプレーしている印象を受けた。
この試合では、センターと左サイドでプレーしていたが、どちらかといえば、サイドにいる時の方が脅威だった。競り合いでも、相手の方が有利そうに見えながら、最後のところで一歩抜け出して突破してしまう。一方で、センターにポジションを取っている時はあまりボールに触れられず、少し窮屈そうにプレーしている印象を受けた。
ただ、シセ監督は、前線でサコが孤立することを防ぐためのアイデアを探しているようで「彼をサポートするため、あの位置でマネを起用した。FWへのパス、そこから近い位置でボールを受けて繋げていく。興味深いトライだったと思う」と、試合後にはコメントしており、得点を狙うためのバリエーションとしてマネに期待しているらしい。
確かに、マネは自分で打開するだけではなく、相手の意識が自分に向いた時、味方選手を使ってチャンスをお膳立てするプレーも得意だ。
そしてセネガルには、マネだけではなく、右サイドのサール、この日はベンチスタートだったケイタといった、スピードを武器にする選手が多くいる。サイドチェンジでボールを受けて、スペースがあるうちに一気にトップギアを上げ、スピードに乗って突進してきたら止めるのは困難だ。
クロアチア代表のズラトコ・ダリッチ監督は、「セネガルはアフリカのベスト国。スピードがある選手がいて、素早く攻撃を展開することができる」と、試合後に賛辞を送っていた。そのような相手には、自由に走らせないようにスペースをケアすること、そして前を向かせないような守備組織作りが肝心となるだろう。
試合には負けたとはいえ、前半30分頃から相手の同点ゴールが決まる60分過ぎまでは欧州トップクラスのクロアチアを相手に主導権を握り、押し込んでいたセネガル。間違いなく強い。日本は入念な対策を練って、実践できるところまで落とし込み、強い決意とともに試合へ臨まなければならない。
現地取材・文:中野 吉之伴
【著者プロフィール】
なかの・きちのすけ/1977年7月27日秋田生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで様々なレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA−Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2016-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。「ドイツ流タテの突破力」(池田書店)監修、「世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書」(カンゼン)執筆。最近は日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。