とはいえ、やはり出だしはうまくいかないのが彼らしい。チャンスを活かせず、招集されるもベンチを温める時期を経て、95年10月でようやく代表選手としても認められた。そしてエメ・ジャッケ監督は、エリック・カントナではなく、ジダンに背番号10を託す決心を固めた。
しかし、自身初のメジャーイベントとなったEURO96では、直前にプライベートで交通事故を起こしたことによる心身のダメージで本領を発揮できずじまい。結果、前述の通り、新天地のユベントスではサポーターの冷たい出迎えを受ける羽目となった。
それから2年後のワールドカップ。フランスは86年大会以来のW杯出場を、開催国ということで実現した。プラティニの時代以降、長く続いてきたフランス・サッカーの空白期間を、プラティニのプレーを少年時代に見て育ったジダンが埋めようとしていた。
しかし彼は、グループステージ2戦目のサウジアラビア戦で相手選手を踏みつけて退場。そのキャリアにおいて時折見られた暴力的衝動により、2試合の出場停止処分を受ける。その後も随所に非凡なプレーを見せながらも、決定的な働きはなかったジダンが、突然、主役となったのは、決勝のブラジル戦だった。
前半27分にCKを豪快なヘッドでゴールに突き刺すと、アディショナルタイムにも同じプレーで2点目。前半でほぼ勝負を決める立役者となったのだ。ジダンはあっという間に、世界の頂点に立ったのである。
対して、その2年後のEURO2000では、大会を通してジダンは文句なしのプレーを披露する。ゴールこそ2点に止まったものの、そのボール捌きは神がかっており、1つひとつのプレーも実に効果的だった。決勝ではイタリアに徹底的に抑えられたものの、これも劇的に制して、世界に続き、欧州でもタイトルを手にした。
W杯→EUROの流れをひとつのサイクルとして考えるのなら、彼の最初のサイクルは栄光に満ちていたが、次のサイクルは苦しさが上回った。2002年日韓W杯はジダンにとって、苦い思いしか残っていない大会であろう。開幕直前のテストマッチで負傷し、グループステージの2試合でピッチに立てなかったのだ。
開幕戦で前回王者がセネガルに敗れるのをピッチ外から眺めることを余儀なくされたジダンは、勝てば決勝トーナメント進出の道が拓ける最終デンマーク戦で復帰し、懸命にプレーしたものの、完調でない彼に悪い流れは変える力はなく、0-2の敗北。わずか3試合で帰国することとなった。
自身、最後の大舞台として臨んだEURO2004でも、グループステージ初戦では終了間際に2ゴールを決めてイングランドに逆転勝利し流れに乗ったものの、準々決勝では伏兵(そして優勝する)ギリシャの粘り強いサッカーに打ち負け、不本意なまま大会を後にした。
そしてドイツW杯。EURO2004での引退を撤回してこの大会に臨んだ彼は、すでにクラブでのキャリアを終えており、これが正真正銘のプロとしての最後の檜舞台だった。
フランスは優勝候補ではなかったが、ジダンが威光を放ち、それに周囲が背中を押されたことで、決勝トーナメントではスペイン、ブラジル、ポルトガルを次々に撃破。そしてイタリアとの決勝を迎える。ジダンは7分、PKを技巧的な「パネンカ」で決め、この大会3点目(ランキング2位)を挙げた。
しかし、間もなくマルコ・マテラッツィのヘッドで試合を振り出しに戻され、試合は延長戦へ。ジダンは決定的な場面を迎えたが、ヘッド弾はジャンルイジ・ブッフォンの好守に阻まれる。そして110分、マテラッツィに挑発を受けたということで、頭突きを見舞い、強制的にピッチから排除されてしまった。
全くもって予想外で、なおかつ後味の悪いキャリアの結末は、様々な論争を巻き起こしたが、いまだに謎な部分が少なくない。ただ、ジダンはこの最後のW杯で大会最優秀選手に選出された。
ユニホームを脱いだ後は、しばしプレッシャーのない世界を家族とともに楽しんでいたジダンだが、生来の勝負師をサッカー界は放ってはおかず、マドリーでフロント、アシスタントコーチ、ユースチームの監督を経て、2016年1月、ラファエル・ベニテスの解任を受け、トップチームの監督の座に就任した。
そこからの歩みは、もはや誰もが知る通りだ。数々の困難を乗り越えて3連覇というCL初の偉業にチームを導き、偉大な名将としての地位を手に入れ、今回、引き際を見極めて潔くその座から退いた。
しかし、サッカーの神に愛され続けた寡黙な男のサクセスストーリーは、まだ終わらないはずである。
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