そして、東海学園から系列大というルートを辿った畑や渡邉といった卒業生たちの姿を見て、「自分もそうなりたい」と高い意識と目標を持つことに繋がった。

「基本的には毎週木曜日に高校と大学で練習試合をするんです。トップチームとする時もありますし、Ｂチームだったり、１年生チームだったりとチームはまちまちですが、全体的にレベルが上がって来ていて、その現実を選手たちが目の当たりにするわけです。そうすることで、選手たちが高校で真面目にかつ全力でやらないと上での道は切り開けないと感じる。選手の意識は大きく変わりましたね」（鶴田監督）

　大学生との試合は常に相手が『格上』のため、選手たちも必死で食らいつく。こうした強度の高い試合をこなすことで、技術、フィジカルだけでなく、精神的にも鍛えられていくわけだ。

「先輩もたくさんいて、その先輩がより上手くなっていたり、プロになれる選手と戦えたりすることで、『僕らももっとやらないとダメだ』と感じますし、チームとしても課題がすごく見つかります。公式戦のミーティングだけでなく、大学との試合を受けてのミーティングも増えました」（柴田）

　こうした積み重ねが今予選で大きく花開いた。予選前と予選中、立て続けにアクシデントが発生。チームの心臓の柴田が県リーグで負傷し、さらにストライカーの李慧勲（リ・ヘフン）までも決勝リーグの前に負傷する緊急事態となった。

「柴田はピッチを俯瞰して見られるので、狭い局面から広く展開できたり、相手の隙を着実に突くことができる。ヘフンはボックス前でチャンスを作り出せる。このふたりがいないとボールの落ち着きどころが少なくなってしまう」と鶴田監督が語ったように、攻撃の主軸ふたりを欠いた状態での決勝リーグは厳しい戦いを強いられるかと思われた。

　しかし、ふたを開けてみると、選手たちは崩れることなく出場権を獲得。初戦で刈谷を３-２の接戦で下すと、第２戦の名経大高蔵を１-１からPK戦で勝利を収め、首位に立った。