イタリア人記者が暴く!「欧州サッカー界の隠れたカースト」(後編)

カテゴリ:メガクラブ

クラウディオ・デ・カルリ

2018年06月04日

自分たちこそがCLというコンペティションの主。

サラーに怪我を負わせ、退場に追い込んだS・ラモス(左)のこのプレーには、警告どころかファウルの笛すら吹かれなかった。(C)Getty Images

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 マドリーが持つ有形無形の影響力と圧力について深い自覚を持っているペレス会長は、UEFAコンペティション(CL&EL)へのVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)の導入に強硬に反対している。

 マドリーが反対する限り、CLにVARが導入される可能性は低い。UEFA会長のアレクサンデル・チェフェリンは、ペレスの後ろ盾を受けてUEFAのトップの座に就いた人物であり、マドリーには頭が上がらない。審判部門責任者のピエルルイジ・コッリーナですら、それに逆らうことはできない。

 キエフで行なわれた今シーズンの決勝も、マドリーのサポーター以外にとっては決して後味のいい試合ではなかった。他でもないセルヒオ・ラモスが、リバプールの攻撃の要であり、この試合の行方を左右できる唯一の存在だったモハメド・サラーを、柔道の技を使うように抱え込んで倒して負傷交代に追い込み、それが試合の流れを決定づけたからだ。

 スペインの友人からは、すぐにこんなメッセージが送られてきた。
 
「奴がどんな人間かはよく知っている。あれが故意のファウルじゃなかった? サラーはクリスチアーノ・ロナウドと今年のバロンドールを争っており、マドリーの13回目の優勝を妨げ得る唯一の存在だった。ピッチから排除する必要があったんだ」

 この出来事の後にもS・ラモスは、リバプールのGKロリス・カリウスに対して頭突きをかまそうという勢いで突っ込んでいる。しかし、サラーを倒した時もこの時も、主審はS・ラモスにカードを出すどころかファウルの笛すら吹かなかった。

 しかし、「ローマは一日にして成らず」と言う諺通り、マドリーの地位と影響力もその起源は遠い過去にまで遡る。

 チャンピオンズ・カップの創設から5年連続でタイトルを勝ち取ったのに始まり、過去5年で4回の優勝を飾っているこのクラブは、自分たちこそがCLというコンペティションの主であり、「フットボールの世界はレアル・マドリーを中心に回っている」と本気で考えている。そしてヨーロッパのサッカー界においては、誰もが多かれ少なかれそれを事実として認め、受け容れている。カーストというのはそのようにして成り立つものなのだ。

文:クラウディオ・デ・カルリ
翻訳:片野道郎

【著者プロフィール】
ミラノの日刊紙『イル・ジョルナーレ』でインテル番を長年務めた敏腕記者。粘り強い取材から引き出したスクープが多く、番記者の間でも一目置かれる存在だ。現在はフリー。58年生まれ。
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