リバプールでの素晴らしいシーズンを締め括る最後の大舞台で、このような悲劇が待ち受けているとは思いもよらなかっただろう。

　５月26日のチャンピオンズ・リーグ（CL）決勝で、モハメド・サラーはレアル・マドリーの主将セルヒオ・ラモスと交錯し、左肩を負傷。一度はピッチに戻ったもののプレーを続けることができず、31分にアダム・ララーナとの交代を余儀なくされた。

　涙を流しながらピッチを去るサラー。その姿にはリバプールのサポーターのみならず、多くのサッカーファンが心を打たれたはずだ。そして同時に、彼の祖国エジプトのファンや同国代表の関係者を不安にさせただろう。試合後、ユルゲン・クロップ監督が「深刻な負傷」と話していただけになおさらだ。
 

　だが『ESPN』によると、エジプト・サッカー協会はツイッターで、サラーのワールドカップ（W杯）出場に「楽観的」と発表。エジプトのスポーツ大臣もフェイスブックで、「肩の靭帯損傷により２週間の離脱見込み」と明かし、リバプールでリハビリをしてからエジプト代表に合流する予定だと述べた。

　CL決勝という大舞台を志半ばで去り、チームも１-３で敗れただけに、サラーの落胆の大きさは計り知れないだろう。だが、W杯出場の希望が残ったのは不幸中の幸いと言えるかもしれない。

　一方で、そのW杯への影響も心配されるのが、同じく負傷交代を余儀なくされたマドリーのダニエル・カルバハルだ。サラーが交代した３分後、敵陣の深い位置でヒールパスを出した際に右足を負傷。ナチョとの交代でピッチを去っている。

　スペイン紙『Marca』によると、カルハバルは初診で右ハムストリングの損傷と診断されたようだ。詳しい検査をする必要があるが、同紙はW杯に向けて「危険な状況」と報じている。

　カルバハルは２年前のアトレティコ・マドリーとのCL決勝でも負傷交代し、同年に開催されたEURO2016の出場を断念している。これでもしロシアW杯にも出場できないとなれば、心の傷はやはり深い。

　ピッチに倒れこんだ瞬間から涙を見せていたカルバハルに、はたして朗報は届くのか。検査の結果が待たれる。