CL決勝でサラーにかかる新たな期待。
今シーズンのプレミアにおける名勝負の1つでもある、リバプールがシティに初黒星をつけた一戦(○4-3)で勝敗を分けた1点は、サラーが30m強の距離から相手GKの頭越しにゴールど真ん中へ放り込んだシュートによるものだった。
またサラーのゴールは、チームのゴールラッシュ開始の合図のようなイメージも強い。例えば、チャンピオンズ・リーグ(CL)準決勝のローマ戦・第1レグ(○5-2)での先制点がそうだ。
チャンスを逸する場面が目立っていたリバプールだったが、サラーがゴール上隅に狙いすましたシュートを決めたことで、5得点(サラーは2ゴール2アシスト!)大勝への火蓋が切って落とされた。
またサラーのゴールは、チームのゴールラッシュ開始の合図のようなイメージも強い。例えば、チャンピオンズ・リーグ(CL)準決勝のローマ戦・第1レグ(○5-2)での先制点がそうだ。
チャンスを逸する場面が目立っていたリバプールだったが、サラーがゴール上隅に狙いすましたシュートを決めたことで、5得点(サラーは2ゴール2アシスト!)大勝への火蓋が切って落とされた。
プレミアの新得点記録を達成すると同時に、今シーズンのリーグ得点王を確定させた最終節ブライトン戦(○4-0)でのパフォーマンスは、まるでローマ戦のダイジェストを見ているようだった。
サラーは、26分にチャンスを逃さずにターンしながらのシュートをニアポスト内側に決めてチームを大勝ムードに乗せると、ドリブル突破からのパスでドミニク・ソランケのリバプール初ゴールを演出。さらに、ロベルト・フィルミーノが決めて然るべきの鋭い折り返しによるラストパスを立て続けに送るなど、攻撃陣を活性化させた。
そして、83分に交代を告げられた瞬間のリアクションである。
サラーは自分の背番号「11」が表示された電子ボードを確認すると、軽く天を仰ぎながらユニホームの裾で顔を隠した。この仕草は汗を拭くためではなく、がっかりした表情を隠すためのように見えた。万雷の拍手をサポーターから受けながらも、シャツを下ろして歩き始めた時の顔は渋かった。
このように、意欲も、自信も漲らせている様子を見れば、それこそ「エジプト王」の如く母国代表の顔として臨むロシアW杯の前に残されている、シーズンのラスト1試合での記録達成も可能ではないだろうか?
その試合とは、もちろんレアル・マドリーとのCL決勝。そして期待される記録とは、リバプールのシーズン歴代最多得点(47)だ。サラーが欧州の大舞台でハットトリックを決めれば、伝説の「点取り屋」イアン・ラッシュと肩を並べる。そんな「まさか」も無きにしも非ず、と思えてしまう。
5月26日の決勝の夜には、サラーのいるリバプールに声援を送るとしよう。ともすれば、シティの水色に統一されそうだったなか、鮮やかなリバプールの赤色が加え続けられたことで今シーズンを楽しめた、イングランド庶民の1人として。
文●山中忍
【著者プロフィール】
やまなか・しのぶ/1966年生まれ、青山学院大学卒。94年渡欧。イングランドのサッカー文化に魅せられ、ライター&通訳・翻訳家として、プレミアリーグとイングランド代表から下部リーグとユースまで、本場のサッカーシーンを追う。西ロンドン在住で、ファンでもあるチェルシーの事情に明るい。