そのハリルさんの解任に伴い、ガンバ時代の09～11年に一緒に仕事をした西野（朗）さんが新監督に就任した。
 
　と言っても、当時の僕は高校２年生。プロになったばかりで……正直、自分のことに精一杯だった。特に１年目はまったく試合に絡めず、居残り練習ばかりしていた印象しかない（笑）。それでも、西野さんはチームに緊張感のある良い『空気』を生み出すのがすごく上手かったり、抜擢した選手が突然結果を残すことがあまりに多くて「その閃きはどこから来るの!?」って驚いた記憶がある。西野さんにしてみれば裏付けがあっての「閃き」だったとは思うけど。
 
　そんな僕もプロ１年目のある試合で、西野さんの閃き⁉ 　によって急きょメンバー入りした時があった。試合に出るはずだった選手の怪我が思いのほか回復せず、前日になって僕が呼ばれた。

 

　ただ、当時の僕は１ミリたりともメンバー入りするとは思っていなかったから、試合に必要な荷物を何も持ってきていなくて。練習後に荷物を家に取りに帰りたいと西野さんに伝えたら、冗談交じりに「読むな」とひと言。要は、メンバー外だと勝手に読んで行動するな、と。
 
　それを聞いた時に「確かに試合に出る可能性のある、なしを勝手に読んで決めているうちは、まだまだ甘いんやな」と思った……ってことが、西野さんの代表監督就任のニュースを聞いて蘇りました！
 
＜了＞
 
宇佐美貴史
 
構成●高村美砂
 
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PROFILE
うさみ・たかし／1992年５月６日生まれ、京都府出身。180センチ・72キロ。長岡京ＳＳ－Ｇ大阪Jrユース―Ｇ大阪ユースーＧ大阪―バイエルンーホッフェンハイムーＧ大阪―アウクスブルクーフォルトゥナ・デュッセルドルフ。09年に高校２年でトップチームに昇格し、当時のクラブ史上最年少（17歳と14日）で公式戦デビューを飾った。11年７月からバイエルン、翌シーズンにホッフェンハイムでプレー。13年５月に古巣へ復帰し、14年には３冠獲得に貢献。16年夏にアウクスブルクへ移籍し、再びドイツへと活躍の場を移す。昨夏に期限付き移籍で２部のＦ・デュッセルドルフに入団。主軸としてハイパフォーマンスを連発し、チームの昇格に多大な貢献を果たした。日本代表通算／19試合・３得点、Ｊリーグ通算／138試合・64得点（うちＪ１は120試合・45得点）。データはすべて2018年４月30日現在。