ラ・マシアは変化しながら存在し続ける
ヨハン・クライフが方向性を決めて以来、ラ・マシアはボールプレーを追求し、コンビネーションを洗練してきた。その積み重ねのおかげで、トップチームを彩る選手たちを輩出している。グアルディオラが背負っていた背番号4はその後、シャビ、イニエスタなどがつけ、ひとつの系譜となった。
ところが、最近のラ・マシアは現代サッカーに合わせ、変化も見られる。フィジカルプレーも重視し、そういうタイプの選手も入るようになったのだ。
例えば、18歳のFWアベル・ルイスは、今までのラ・マシアにはいなかったタイプである。大柄でヘディングも強く、走力にも長け、個の力で打開する能力を持っているストライカーだ。
確かに、ラ・マシアは変化しつつある。とはいえ、「終わった」というのは言い過ぎだろう。その表現は、さすがに敬意を欠いている。
ラ・マシアの頂点でもあるバルサBは現在、2部リーグに在籍している。リーガ・エスパニョーラのクラブで、でセカンドチームが2部にいるのはバルサだけ。ユースリーグで決勝に進出したように、今もラ・マシアのポテンシャルの高さは変わらないのだ。
バルサの抱えるジレンマは、はっきりしている。
いかにユースリーグで覇を競い、バルサBが2部で健闘しても、トップで求められるのは絶対的強さ……。チームを牽引する選手を下部組織から生み出すのは簡単ではない。ラ・マシアの象徴であるリオネル・メッシは数十年に一度の選手であり、毎年のように生み出せるわけではないのだ。
「周りの人は勝手なことを言います。しかし、私たちは上手くいっているように見える時も、そうでないように見える時も、同じように仕事をしています。ラ・マシアの信念を信じていますから」
かつて取材したラ・マシアの関係者の言葉は、今も耳に残っている。どの国であっても、育成には長い時間がかかるものなのだろう。
文:小宮 良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月には『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たした。
ところが、最近のラ・マシアは現代サッカーに合わせ、変化も見られる。フィジカルプレーも重視し、そういうタイプの選手も入るようになったのだ。
例えば、18歳のFWアベル・ルイスは、今までのラ・マシアにはいなかったタイプである。大柄でヘディングも強く、走力にも長け、個の力で打開する能力を持っているストライカーだ。
確かに、ラ・マシアは変化しつつある。とはいえ、「終わった」というのは言い過ぎだろう。その表現は、さすがに敬意を欠いている。
ラ・マシアの頂点でもあるバルサBは現在、2部リーグに在籍している。リーガ・エスパニョーラのクラブで、でセカンドチームが2部にいるのはバルサだけ。ユースリーグで決勝に進出したように、今もラ・マシアのポテンシャルの高さは変わらないのだ。
バルサの抱えるジレンマは、はっきりしている。
いかにユースリーグで覇を競い、バルサBが2部で健闘しても、トップで求められるのは絶対的強さ……。チームを牽引する選手を下部組織から生み出すのは簡単ではない。ラ・マシアの象徴であるリオネル・メッシは数十年に一度の選手であり、毎年のように生み出せるわけではないのだ。
「周りの人は勝手なことを言います。しかし、私たちは上手くいっているように見える時も、そうでないように見える時も、同じように仕事をしています。ラ・マシアの信念を信じていますから」
かつて取材したラ・マシアの関係者の言葉は、今も耳に残っている。どの国であっても、育成には長い時間がかかるものなのだろう。
文:小宮 良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月には『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たした。