そもそも今の日本は、自分たちがイニシアティブを取り、攻め続けて勝つチーム。１-０のまま守って勝つようには作られていない。にもかかわらず、日本は２点目を全力で取りにはいかなかった。１点を取ったことで、このまま終わりたいという気持ちもあったように見える。
 
　コートジボワールの守備には、危なっかしい場面が多々あり、高い位置でボールを奪いに行けば、そこからチャンスを生み出せる可能性は高かった。決して日本が敵わない相手ではなく、十分に勝機があっただけに、何とももったいなかった。
 
　状況的には、2006年ドイツ大会のオーストラリア戦に似ていた。あの試合同様、とにかく重苦しく、リードしていても余裕がなく、リズムも良くない。１点取られたら逆転されてしまうという恐怖が、常につきまとっていた。
 
　今回は、日本が自分たちのサッカーで世界の強豪に真っ向勝負を挑み、どこまでやれるのかを確認することが最大のテーマと見ているが、最後まで後手を踏み続けたコートジボワール戦を終えた限りでは、８年前と状況はあまり変わっていない。
 
　決勝トーナメント進出のためには、残り２試合に勝つしかない。５日後のギリシャ戦は、勝たなければならない者同士の対決ということで、相手も前に出てくるだろう。ギリシャはコロンビア戦では何もできずに完敗したが、あれが本当の姿かどうかは分からない。あるいは日本戦にピークを持ってくる可能性もある。個人的には一番やりづらい相手だと見ているが、それでも日本が主導権を握ることになるだろう。
 
　この試合では、本来のサッカーを見せてほしい。失点を恐れずに前に出る、これまでのアグレッシブなスタイルに戻すべきだ。ギリシャが個の力で点を取れるFWを擁しているとしても、日本は守備ラインを高く保ち、攻撃的な姿勢を貫いてほしい。
 
　昨年のコンフェデレーションズ・カップを思い出してほしい。１戦目でブラジルに完敗し、「何がしたいのか分からない」と酷評された日本だったが、続くイタリア戦では敗れはしたものの、世界中から評価されるほどの良いプレーを見せた。あの時に変われたのだから、今回だって変われるはずだ。
 
　ギリシャは自分たちのペースに日本を引き込もうとするだろうが、これに付き合ったら終わり。最初から高い位置で仕掛けていき、１点、２点と奪っていくようなサッカーをしていくべきだ。会場となるナタウはレシフェ同様、暑くて、湿気が高い。スコールもある。環境的には厳しいが、これはギリシャにとってより不利となるだろう。
 
　日本はこれまで、初戦を落とした大会で良い成績を残したことがなく、その点では不安が多いが、それを今大会で払拭してもらいたい。このまま負けたら、ザッケローニ体制下で取り組んだ攻撃的スタイルが、日本サッカーに財産として残らなくなってしまう。