エンターテイメント性とリアリズムが共存するスタイルは非常に合理的だ。
そして、チームがまだ発展途上にあること、さらに札幌では技術力の高い代表クラスの選手が揃っていた浦和ほど敵陣深くに押し込み続けられないという事実が、ペトロヴィッチ監督の目指すサッカーを理想と現実との、適度な中間地点に落とし込めているように感じられる。そして幸いにも、札幌にはフル代表選手こそいないものの、深井一希、宮澤裕樹らリーグ屈指とも言えるハードワーカーが複数存在していることも好バランスを保つうえで大きな要因になっているはずだ。
もちろん、ペトロヴィッチ監督にしてみれば、より多くのパスをつないで相手守備を翻弄するサッカーを演じたいところだろう。だが、予算規模がJ1下位の札幌というクラブに攻撃的なパスサッカーを植え付けながらJ1残留を目指す今季のタスクを考えるならば、現状のようなエンターテイメント性とリアリズムがそれぞれ適度に共存するゲームスタイルは非常に合理的だし、その内容もまたモダンなものに見える。高い理想を追求する東欧の指揮官とプロビンチャとの出会いは、新たな化学反応を起こすかもしれない。そんな予感さえしてしまう、札幌の2018年シーズンの序盤戦だ。
取材・文●斉藤宏則(スポーツライター)
もちろん、ペトロヴィッチ監督にしてみれば、より多くのパスをつないで相手守備を翻弄するサッカーを演じたいところだろう。だが、予算規模がJ1下位の札幌というクラブに攻撃的なパスサッカーを植え付けながらJ1残留を目指す今季のタスクを考えるならば、現状のようなエンターテイメント性とリアリズムがそれぞれ適度に共存するゲームスタイルは非常に合理的だし、その内容もまたモダンなものに見える。高い理想を追求する東欧の指揮官とプロビンチャとの出会いは、新たな化学反応を起こすかもしれない。そんな予感さえしてしまう、札幌の2018年シーズンの序盤戦だ。
取材・文●斉藤宏則(スポーツライター)