【現地発】パリSGがネイマールの「ご機嫌取り」のため、エムバペの売却を検討?

カテゴリ:ワールド

エル・パイス紙

2018年03月10日

野心溢れる新進気鋭は邪魔な存在。

個人タイトルに頓着しないエムバペだからこそ、パリSGの攻撃陣は平穏が保たれているのかもしれない。(C)Getty Images

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 不穏な空気を示す例は、まだある。CLのマドリー戦のファーストレグで、監督のウナイ・エメリは右サイドにダニエウ・アウベスとエムバペを縦に並べた。しかし、D・アウベスは無闇にクロスを放り込むばかりで、パスを呼びこもうとマークを外すエムバペの動きを完全に無視。この試合、D・アウベスが初めてファイナルサードに位置するエムバペにパスを送ったのは、71分のことだった。

 D・アウベスは、ネイマールの親友だ。不可解なプレーのその背景に、ネイマールの存在があると勘繰るのは当然だろう。ちなみにこの日、ネイマールが初めてエムバペにパスを出したのも前半終了間際で、しかもそれは、相手のプレッシャーをかわすための苦し紛れのロングボールだった。

 それでもエムバペは、マドリーとの第1レグでチーム最多の枠内シュートを記録。エムバペのポテンシャルの高さはだれの目にも明らかだが、両者の溝の深さを案じるあるクラブ幹部は、1月にこんな意味深なコメントを残している。

「エムバペがネイマールより優れた選手であるなら、それを証明するのはまだ早い」

 クラブで王様として振る舞いたいネイマールにとって、野心溢れる新進気鋭は邪魔な存在でしかないようだ。

 
 一方、ヨーロッパ王者をめざすパリSGにとっては、ネイマールをプロジェクトの顔として君臨させることがファースト・プライオリティーであり続けている。

 フットボール界においてこの種の情報というのは、すぐさま他のクラブの耳にも入るものだ。バルサやマンチェスター・シティはエムバペ獲得のためにすでに水面下で調査に動いているが、直接オペレーションに関わる代理人によると、移籍金は3億ユーロ(約390億円)に達する可能性もあるという。

 バルサにはとても払えない金額だが、このビッグディールを実現する裏技がひとつだけ存在する。それが冒頭で述べたコウチーニョとの交換トレードだ。ネイマールにとっても親友コウチーニョの加入は大歓迎であり、クラブ内に築きつつある自身の王国をさらに強固なものにするための格好の後押しともなるはずだ。

 一方でエムバペは、こうした状況にも一切動じる気配を見せていない。周囲の人間は、一歩引けば事態は沈静化するとアドバイスをするが、聞く耳を持たず、会長がネイマール側に立とうが、まったく意に介する様子はなく、あくまで強気の姿勢を崩さない。今後開催される試合でも、彼はこれまでと変わりなくパスを要求し続けるだろう。

文●ディエゴ・トーレス(エル・パイス紙/海外サッカー担当記者)
翻訳:下村正幸
※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙の記事を翻訳配信しています。
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