新星発見!「メッシに憧れる未来のセレソン候補」ダビド・ネーレス

カテゴリ:ワールド

ワールドサッカーダイジェスト編集部

2018年03月09日

ヨーロッパ進出は本人が望んだわけではなかった。

昨シーズンの冬の移籍市場でアヤックスと契約。D・ネーレス自身はブラジルを離れる気などなく、加入当初はオーフェルマルスSD(右端)が獲得を後悔するほど冴えないパフォーマンスが続いた。(C) Getty Images

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 ブラジルの名門サンパウロで頭角を現わしたD・ネーレスがアヤックスに入団したのは、17年1月31日である。移籍金は1200万ユーロ(約15億6000万円)で、これはアヤックスがEU圏外の選手に支払ったクラブ史上最高額だった。

 だが、4月頃まではベンチを温める日々が続き、次第に「補強は失敗だったのでは?」という懐疑的な声が囁かれはじめる。強化責任者であるスポーツディレクターのマルク・オーフェルマルスが、「代償が大きすぎる……」と本音を漏らしたこともあった。

 入団当初はまだ、気持ちの整理がついていなかったのかもしれない。実はアヤックスへの移籍は、彼自身が望んだものではなかったのだ。

 サンパウロのユースで10年過ごし、16年10月にトップチームにデビューすると、その16年シーズンのブラジル全国リーグで8試合に出場。そして17年1月には、U-20南米選手権にブラジル代表の一員として参戦した。

 この頃の彼はまだキャリアの第一歩を踏み出したばかりで、「まずは自国で実績を築く」のが先決だと考えていた。ところが、クラブ主導で移籍の話がまとまり、意に反してオランダ行きの飛行機に乗ることになってしまったのだ。

 
 派手なイメージがつきまとうブラジル人選手とは対極のタイプである。ファウルを誘うような狡猾なプレーは少なく、性格は真面目でおとなしい。トレーニングには遅刻せず参加し、体重のセルフコントロールも万全でオーバーウエイトとは無縁。素行は良く、不平不満も漏らさない(オランダ特有の悪天候に対しても愚痴はこぼさない)優等生だ。

 つねにまぶたが重く不機嫌そうな表情とミステリアスな雰囲気に加え、英語がなかなか上達しないこともあり、チームメイトは話しかけづらいようだが、幸いにして肝心のプレーは冴え渡るばかり。D・ネーレスはいわば“足で語る”タイプの選手なのである。

 アヤックスでの初スタメンは17年4月2日、ホームにフェイエノールトを迎えた一戦だった。2-1で勝利したこの試合でD・ネーレスは、36分にゴールを挙げて存在感を見せつけた。ゴール後には、左手を左耳にかざすセレブレーションをオランダで初披露。一躍、脚光を浴びはじめたのはこの一戦からだ。

 当面の目標は、アヤックスで成功すること。それをステップボードにさらなる高みを目指す。そしていつの日か――。

 リオネル・メッシを尊敬する左利きのウインガーは、ブラジル代表の中心選手として活躍するという大きな夢を抱いている。

文:ハンス・フォス
翻訳:青木裕子

※ワールドサッカーダイジェスト2018.3.15号より加筆・修正
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