スピードと並ぶもうひとつの武器は――。
もちろんそれも常に自らがフィニッシュに絡むことを想定したものだ。いわゆる「ゴールセンス」というのは、つまるところ自らがシュートを撃つことにフォーカスしているかによって左右されるものだが、その観点から見てエムバペはその度合いが際立って高いタイプだ。
技術・戦術的な観点から見れば、他の3人とて比べセンシビリティー(ボールタッチの繊細さ)やボールコントロールの精度では及ばない。しかし、パスとオフ・ザ・ボールの動きのいずれにおいてもタイミングの感覚が非常に優れており、プレーの流れの中で自らのために、あるいは味方のためにフィニッシュに繋がるスペースと時間を作り出せる。
ゴール前の狭いスペースでモノを言うフィジカル的クオリティー(スピード、アジリティー、クイックス)では他3人に及ばないにもかかわらず、エムバペが最も高い頻度でフィニッシュに絡み、より多くのゴールやアシストを記録している理由もまさにそこ、戦術的インテリジェンスの高さにある。
それと比べれば、オープンスペースにおける爆発的なスピードですら、副次的なファクターでしかないと言えるだろう。4人の中でフットボーラーとしての総合的な完成度が最も先に進んでいるのも、間違いなくこのエムバペだ。
分析:ロベルト・ロッシ
取材・構成:片野道郎
※『ワールドサッカーダイジェスト』2018年2月15日号から加筆・転載
[分析者プロフィール]
ロベルト・ロッシ/1962年3月16日生まれのイタリア人監督。MFだった現役時代は、チェゼーナの育成部門でアリーゴ・サッキ(元イタリア代表監督)に、ヴェネツィアではアルベルト・ザッケローニ(元日本代表監督)に師事。99年に引退し、01~08年はラツィオやインテルなどでザッケローニのスタッフ(コーチ兼スカウト)を務める。その後は独り立ちしてイタリアの下部リーグの監督を歴任。16-17シーズンはスパルのU-19監督を務める。現在はフリー。
技術・戦術的な観点から見れば、他の3人とて比べセンシビリティー(ボールタッチの繊細さ)やボールコントロールの精度では及ばない。しかし、パスとオフ・ザ・ボールの動きのいずれにおいてもタイミングの感覚が非常に優れており、プレーの流れの中で自らのために、あるいは味方のためにフィニッシュに繋がるスペースと時間を作り出せる。
ゴール前の狭いスペースでモノを言うフィジカル的クオリティー(スピード、アジリティー、クイックス)では他3人に及ばないにもかかわらず、エムバペが最も高い頻度でフィニッシュに絡み、より多くのゴールやアシストを記録している理由もまさにそこ、戦術的インテリジェンスの高さにある。
それと比べれば、オープンスペースにおける爆発的なスピードですら、副次的なファクターでしかないと言えるだろう。4人の中でフットボーラーとしての総合的な完成度が最も先に進んでいるのも、間違いなくこのエムバペだ。
分析:ロベルト・ロッシ
取材・構成:片野道郎
※『ワールドサッカーダイジェスト』2018年2月15日号から加筆・転載
[分析者プロフィール]
ロベルト・ロッシ/1962年3月16日生まれのイタリア人監督。MFだった現役時代は、チェゼーナの育成部門でアリーゴ・サッキ(元イタリア代表監督)に、ヴェネツィアではアルベルト・ザッケローニ(元日本代表監督)に師事。99年に引退し、01~08年はラツィオやインテルなどでザッケローニのスタッフ(コーチ兼スカウト)を務める。その後は独り立ちしてイタリアの下部リーグの監督を歴任。16-17シーズンはスパルのU-19監督を務める。現在はフリー。