【なでしこジャパン】悲願のアジアカップ初制覇はなぜ達成できたのか?

カテゴリ:日本代表

西森彰

2014年05月26日

AFCとの粘り強い交渉が決勝で生きる。

今大会では、写真の菅澤や、吉良、後藤など若手の新戦力も存在感を放ち、チームの底上げを印象づけた。 (C) Getty Images

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3 佐々木則夫監督の意欲的な采配
 
 世界大会から逆算して物事を考える指揮官は、その前の段階では手の内を隠す。そのためには最善手を選ばないこともしばしばだ。すべての試合に勝ちたい選手との間で、若干の温度差が感じられていたのも事実だ。
 
 櫛の歯を欠くようなメンバー構成で臨んだ今大会は、情報操作を考える必要がなく、また、その余裕もなかった。準決勝では途中出場の木龍七瀬の動きに物足りなさを感じると、躊躇なくベンチに下げた。
 
 決勝では2枚のCBとボランチでゲームを作るオーストラリアに、ほとんど試していない4-2-3-1で対応。ビルドアップのスタート地点を潰すなど、意欲的な采配でアジアカップ初優勝を手繰り寄せた。
4 日本サッカー協会のネゴシエーション
 
 圧倒的な運動量とスピードで、左サイドを制圧した川澄奈穂美。決勝では相手エースのデ・バンナを封じ、決勝点もアシストした宇津木瑠美。そしてグループリーグ限定ながら、FW陣にポジティブな影響を与えた大儀見優希……。海外組の活躍なくして、アジアカップは得られなかった。
 
 日本サッカー協会(JFA)は、インターナショナル・マッチデーの対象認可呼びかけに始まり、選手を保有する海外クラブやアジアサッカー連盟(AFC)との交渉まで、粘り強く働きかけた。
 
 海外組が期待どおりに働き、AFCから勝ち取った登録選手枠の拡大で参加した後藤三知が決勝戦に出場。JFAのバックアップ体制にも拍手をおくるべきだろう。
 
<ワールドカップへ向けた収穫と課題>
 
 女子ワールドカップ・カナダ大会では、出場国数が16から24に拡大し、決勝まで7試合を戦うことになる。オーストラリアはベスト8-16のクラスだから、主力の何枚かを落としても勝負できるメドがついた。
 
 また、猶本光のように出場機会は少なかったが、トレーニング時の意欲的姿勢が目につく選手もおり、将来に向けても明るい材料を手にした。
 
 その一方で、アルガルベカップで敗れたドイツと比較すれば、まだまだ隔たりがある。今大会に限っても、決勝トーナメントでの得点は、すべてセットプレーによるものだった。さらなる進化には「それぞれのチームに戻って、今大会で感じたことをどれだけ考えながら再スタートできるか。そこが重要だと思います」(宮間)。
 
 女子ワールドカップ・カナダ大会は来年の6月6日開幕。残された時間は1年と少しだ。
 
取材・文:西森 彰(フリーライター)
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