5レーン理論にインナーラップ… “吉田ヴァンフォーレ” 新機軸の発想と完成度

カテゴリ:Jリーグ

大島和人

2018年02月10日

「5レーン」の幅を意識した攻撃スタイルへ。

甲府で指揮を執り2年目を迎える吉田監督(左)。今季はより攻撃的なチームへと変貌を遂げられるか。写真:徳原隆元

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 町田戦の1本目で特に目についたのは、右SB湯澤聖人の「インナーラップ」だった。ウイングの堀米勇輝が大外にポイントを作り、湯澤がその内側からスプリントをかける――。それが右サイドで何度も試された連係だ。ボールを握り、幅を取ったなかで相手ディフェンスをしっかり「壊す」ためには、流動性とパワフルな選手の力強いパフォーマンスが決め手になる。もちろん攻撃のサポート、奪われた後の切り替えに備えたバランスの確保も必要になる。9日のTMからは、そういう発想が見て取れた。
 
 日本国内でもちょうど「5レーン理論」という言葉や、CBとSBの間の中間スペースを活用するアタックがある種の流行になっている。加えて「大外にポイントを作った時の右中間、左中間のスペース」にSBを走りこませるアタックは、吉田監督が以前から好む形だ。
 
 吉田監督に「5レーン」の発想について尋ねると、少し苦笑しながらこう返してきた。
「今日の3、4本目で言ったらシマ(島川俊郎)だけど、十何年前に彼はレーンの理論をやってきているから」
 
 島川は柏のU-15、U-18時代に吉田監督の教え子だった選手である。「5レーン」という言葉はなくても、当時から彼らは攻守でその発想を取り入れていた。昨季の甲府はドゥドゥやウィルソンを活かした「幅より縦」に強みを持つスタイルだった。しかし今季はある種の「回帰」を図ることになりそうだ。
 
 ただ、サイドの連係ひとつとっても、完成度はまだまだ上げる必要がある。堀米も「(湯澤は)もっと前へ行きたい選手なので、外から回ってクロスを上げる回数も必要。そのバランスをもう少し考えてあげないといけない」と反省を口にする。
 
 左利きの堀米にはカットインからのシュート、スルーパスという武器があり、それを活かすためには湯澤が外で「オトリになる」発想も必要だ。複数の選手がイメージを共有し、相手の布陣やスタイル、狙いを見てプレーを選択するという点に限っても、さらなる深まりが求められる。
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