「元々の“血”が流れている」吉田監督が甲府のアタッキングサッカー回帰を明言!

カテゴリ:Jリーグ

志水麗鑑(サッカーダイジェスト)

2018年01月16日

元々は、大木さんや安間さんが…。

安間監督や大木監督の甲府は攻撃的なサッカーだった。(C)SOCCER DIGEST

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 1月14日、ヴァンフォーレ甲府が新体制発表会見を行なったが、登壇した面々の共通意識が印象的だった。
 
 佐久間悟副社長兼GMが「J1に復帰することはもちろん、甲府スタイルを構築するために、全身全霊を捧げてもらいたい」と吉田達磨監督に要求すれば、「昨季のチームの成長は誇り。そこは継続して、伊藤彰新ヘッドコーチとともに、強くて魅力的なヴァンフォーレ甲府を作っていきたい」と指揮官は宣言する。その伊藤コーチも「監督のサッカーを体現できるように頑張りたい」とサポートを約束した。
 
 そして、「吉田監督のサッカーは技術力を高めなければ、スタイルを構築できない。パス、クロス、シュートの質を高められる選手にオファーをした」と佐久間GMが言う新戦力たちも似たようなことを口にする。
 
「去年までは5バックでカウンターのイメージがあったが、今年は甲府がボールを長く保持し、攻撃するスタイルになると思う」(小塚和季)
 
「サッカーが変わりつつある。中央からもサイドからも多彩な攻撃ができる」(金園英学)
 
「(昨季所属の新里亮は)『パスサッカーをする』と言っていた。個人的にそういうサッカーが合っている。楽しいサッカーをできると思う」(佐藤和弘)
 
 佐久間GMや吉田監督をはじめ、伊藤コーチや3人の新戦力のコメントにもある共通意識は「ポゼッションサッカー」だ。それこそが指揮官が目指すサッカーであり、“強くて魅力的な”スタイルだろう。
 
 しかし、そのスタイルはここ数年の5バックによる守備的な戦い方とは異なるが、指揮官は丁寧に説明する。
 
「ここ数年、J1のステージをみんなで守り抜いてきた。時には、ゴール前に我々が人数を固めて守る。それは、良い悪いではなく、必要性がある。そのなかで、昨季は一定の成果は得られた(J1で6番目に失点数が少なかった)。
 
 結果は置いといての話になってしまうが、元々の甲府がピッチの中で繰り広げたサッカーは挑戦の歴史がずっと続いていた。何試合、何十試合も勝てない頃から、大木(武)さん(現岐阜監督)をはじめとして、安間(貴義)さん(現FC東京コーチ)、城福(浩)さん(現広島監督)に引き継がれ、そのあたりから死守するものがJ1のステージになった。
 
 でも、元々の甲府は攻撃していく。相手のボールはできれるだけ早く奪って、早く相手のゴールに迫り、攻撃の形を作り出していく。より(オフェンシブで)積極的なサッカー、(それは)もしかすると“血”とも言えるような、作られたものが流れていると思う。
 
(だから)まず、ボールとともにアグレッシブにプレーするサッカーをしなければならない。だが同時にJ1昇格という目標があるなかで、そのスタイルを目指しつつも、“勝つ”ということは全てのスタイルを上回る。そのなかでチャレンジをしたい」
 
「サッカーはエンターテインメント」と謳った大木監督は、初めて甲府で指揮を執った2002年にJ2で7位となると、再登板した05年には攻撃的なスタイルの精度をさらに高めてJ2で3位になり、柏との入れ替え戦を制してチームをJ1初昇格に導く。

 J1参入初年度の06年は15位で残留するものの、07年は17位でJ2に逆戻り。大木監督の後を引き継いだ安間監督の下では、08年はJ2で7位、09年はJ2で4位に終わったが、両者が展開したサッカーは吉田監督が言うように、一貫して攻撃的な姿勢を崩さない。攻守の切り替えの速さとポゼッションスタイルを組み合わせた魅力溢れるサッカーだった。
 
 その後、12年に城福監督が就任すると、J2を制してJ1に復帰。以降は5年間に渡って「J1のステージ」守った。だが徐々に守備重視の戦いにシフトし、引き継がれた樋口靖洋監督、佐久間監督を経て、いつしか5バックでディフェンシブなスタイルが甲府のチームカラーとして確立された。
 
 吉田監督の言葉を借りれば、甲府の「血」とは大木監督や安間監督のもとで繰り広げられた攻守両面でアグレッシブなスタイルだろう。2018年シーズンの新体制会見で指揮官はそこに“戻る”ことを示した。原点回帰とも言える「魅力的なヴァンフォーレ」の復活に期待が高まる。
 
取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)
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