「トレーニングで手を抜く者は試合に出さない」

日本人選手をよく理解する経験豊富なフンケル監督の下、デュッセルドルフは首位を走る。公平な競争原理を用いた指揮官は、選手とチームを良い方向に導いているようだ。 (C) Getty Images
だが、ただ起用するためだけに獲得したわけではない。昇格への起爆剤として、だ。だから、すぐに要求をぶつけた。
「相手が嫌がるところに、もっともっと入っていかなければならない」
すると次節のカイザースラウテルン戦で、原口はこれに応えた。スタメン出場を果たすと、同点弾となるPKを獲得し、自ら決めた。さらに、チームの3点目のゴールをアシストするなど、この日のベストプレーヤーに挙げられるほどの活躍で、チームを勝利に導いたのだ。
試合後、フンケル監督は「今日は、相手が嫌がるところに入り込んでいってくれた。今後、チームを助けてくれるだろう」と喜び、原口も「チームとして、大きな目標がある。それを成し遂げるために、今後もハードにやっていきたい」と意気込みを語った。
さて、この原口の加入で、宇佐美貴史の立ち位置はどうなるか。
ここまで14試合に出場した宇佐美だが、スタメンでの起用は4試合止まり。攻撃的なポジションでは、ベニト・ラマン、ルベン・へニングがそれぞれ7得点を挙げてスタメンから外しにくい存在なのと比べて、まだインパクトに欠けるのは否めない。
とはいえ、ほぼ全ての試合で起用されていることから、フンケル監督から相当の期待がかけられていることは確かだ。原口とのコンビで新しい風を吹かせられれば、宇佐美にとっても、チームにとっても、大きなプラスとなる。
フンケル監督は、スタメンを固定するつもりはない。
週末(現地時間2月3日)に行なわれる4位ザントハウゼンとのホームゲームに向けて、「トレーニングで手を抜く者は、試合には出さない。スタメンやメンバーについて語るのは非常に難しい。多くの可能性があるからだ。試合までのトレーニングで決める」と、一切の妥協を許さない姿勢を打ち出している。
どの選手にも、チャンスはあるのだ。
文:中野 吉之伴
【著者プロフィール】
なかの・きちのすけ/1977年7月27日秋田生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで様々なレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA−Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2016-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。「ドイツ流タテの突破力」(池田書店)監修、「世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書」(カンゼン)執筆。最近は日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。
「相手が嫌がるところに、もっともっと入っていかなければならない」
すると次節のカイザースラウテルン戦で、原口はこれに応えた。スタメン出場を果たすと、同点弾となるPKを獲得し、自ら決めた。さらに、チームの3点目のゴールをアシストするなど、この日のベストプレーヤーに挙げられるほどの活躍で、チームを勝利に導いたのだ。
試合後、フンケル監督は「今日は、相手が嫌がるところに入り込んでいってくれた。今後、チームを助けてくれるだろう」と喜び、原口も「チームとして、大きな目標がある。それを成し遂げるために、今後もハードにやっていきたい」と意気込みを語った。
さて、この原口の加入で、宇佐美貴史の立ち位置はどうなるか。
ここまで14試合に出場した宇佐美だが、スタメンでの起用は4試合止まり。攻撃的なポジションでは、ベニト・ラマン、ルベン・へニングがそれぞれ7得点を挙げてスタメンから外しにくい存在なのと比べて、まだインパクトに欠けるのは否めない。
とはいえ、ほぼ全ての試合で起用されていることから、フンケル監督から相当の期待がかけられていることは確かだ。原口とのコンビで新しい風を吹かせられれば、宇佐美にとっても、チームにとっても、大きなプラスとなる。
フンケル監督は、スタメンを固定するつもりはない。
週末(現地時間2月3日)に行なわれる4位ザントハウゼンとのホームゲームに向けて、「トレーニングで手を抜く者は、試合には出さない。スタメンやメンバーについて語るのは非常に難しい。多くの可能性があるからだ。試合までのトレーニングで決める」と、一切の妥協を許さない姿勢を打ち出している。
どの選手にも、チャンスはあるのだ。
文:中野 吉之伴
【著者プロフィール】
なかの・きちのすけ/1977年7月27日秋田生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで様々なレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA−Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2016-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。「ドイツ流タテの突破力」(池田書店)監修、「世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書」(カンゼン)執筆。最近は日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。