なぜ13歳が最も重視されるのか? 町田・酒井良コーチが見たセルビアの育成事情【中編】

カテゴリ:Jリーグ

熊崎敬

2018年01月31日

クラブが独自の哲学を持って育成に関わる。

日本語が堪能な親友のミランさんとカフェで語り合う酒井コーチ。

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――VNのアカデミーの特徴を教えていただけますか。
 
 まずレッドスターは、それほど育成に力を入れる必要がありません。資金力があり、地方からいい選手を取ることができますから。一方、パルチザンはセルビア最高峰の育成組織と評価されています。アカデミーが多く、たくさんのタレントが集まるため競争が厳しく、すぐにやめさせられる選手も少なくない。
 
 VNも育成に優れていますが、全国区のパルチザンと比べればローカルです。そしてもうひとつ、厳しいパルチザンと違い、連れてきた選手は基本的にやめさせないという理念がある。人間を育てるという部分も大事にしています。
 
――お金がないのに、お金がすべてではないのですね。
 
 そうです。高校選手権が盛り上がる日本の18歳と違い、VNでは18歳のチームはトーンダウンしていて、もうプロは無理だなという選手も残っている。でも、そういう選手たちでBチームを編成して大会に出ていました。
 
 レッドスターのような資金力を押し出すクラブがあってもいいし、パルチザンのような選手養成所があってもいい。VNのように人間形成を重視するクラブがあってもいい。セルビアではそれぞれのクラブが独自の哲学を持って切磋琢磨していました。Jクラブも、それぞれの実情に合わせた哲学を持つべき時期に来ていると思います。

インタビューに応じてくれた酒井コーチ。セルビアでの1年間の研修で感じたこと、学んだことを語ってくれた。

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