“ニグロ”がまかり通った時代から30年――英サッカー界における差別問題に変化は?

カテゴリ:ワールド

松澤浩三

2018年01月27日

差別行為は減少傾向にあるが…。

レジスの死を受け、各会場で哀悼の意が捧げたプレミアリーグ。表面的に差別は消えたように見えるが、根底の部分で、巨悪は消え去ってはいない。 (C) Getty Images

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 レジス、そしてライトの時代から20、30年の時が流れた。国民の生活水準が高い国々が中心となっている世の中では、不平等や差別のない社会の大切さが説かれ、20世紀後半から多民族国家となった英国では、人種差別が減少傾向にある。
 
 プレミアリーグでも多くの黒人や有色人種が活躍し、英国籍の選手だけではなく、世界各国からトップレベルのフットボーラーが参戦している。
 
 黒人でいえば、ポール・インス、ドワイト・ヨーク、リオ・ファーディナンド、ティエリ・アンリ、ディディエ・ドログバ、ロメル・ルカク、エヌゴロ・カンテ、ポール・ポグバ……全員の名前を挙げれば、きりがないほどの優秀な選手たちがプレーし、リーグのクオリティーを高めてきた。
 
 2000年代のプレミアリーグを代表するCBで、元マンチェスター・ユナイテッドの主将であるファーディナンドは、「今日の黒人選手は、シリル(レジス)や彼らの世代のおかげで、今のような環境でプレーができるようになった。彼らが当時経験したような状況でプレーするのは、肉体的にも精神的にも非常に困難だったと思う」と、感謝の言葉を口にした。
 
 そんな後輩たちに対し、引退後は反人種差別団体『Kick It Out(キック・イット・アウト=差別を蹴り出せ)』のサポーターとして差別問題の根絶を訴えてきたレジスは、生前に次のように語っていた。
 
「ドワイト・ヨークやアンディ・コール、イアン・ライトといった後輩の黒人選手たちは、ヴィブ・アンダーソンやローリー・カニンガム、そして、私といった選手たちがインスピレーションになったと言ってくれた。とても嬉しいことだったし、今でも若手選手が、彼らの『父親に勇気を与えた』とか、私たちについて読んだことがあると言ってくれるのはありがたい」
 
『Kick It Out』のような団体の影響もあり、80年代から90年代、さらにいえば、21世紀初頭と比較しても、有色人種を取り巻く環境は大幅に改善されたのは確かだ。しかしながら、これを「表面的な部分だけ」と考える人も少なくない。
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