「育成型クラブとして再構築していきたい」
シャイな性格もあり、会見で笑顔を求められても上手く笑うことはできなかった渡大生だが、地元・広島への移籍に対する意欲の強さは格別だ。
「広島出身であることと今回の移籍はまったく関係ない。自分のサッカー人生を考えた時、広島でプレーすることがベスト。これまで1日1日、誰よりも必死にやってきたし、どこでやろうと(自分の)フットボールをやるだけ。ただ、広島には応援してくれる人が多いし、その人たちに恩を返すという気持ちはある」と言葉に力を込める。
もちろん、背番号9を手にして捲土重来を期す工藤壮人の意欲も高いだろうし、彼らとティーラシン、パトリックをどう組み合わせ、どういう形で起用していくか。城福浩監督の采配がまずは注目だ。
もう一つのポイントであるワイドにも、即戦力が集まった。大宮で攻守にバランスのとれたプレーを見せていた和田拓也と徳島でリーグ3位の9アシストを記録し、クロスに自信を深めてJ1に初挑戦する馬渡和彰。共にボールをしっかりとつないで主導権を握ろうとするチームで自身の存在感を強めていったスタイルで、広島との親和性も高い。
何より広島にいなかったサイドバックの専門職が加入したことによって、城福監督にしてみればフォーメーションの選択肢に幅が生まれたはずである。サイドバックには昨年急成長を見せた高橋壮也の他、本来はセンターバックである丹羽大輝や佐々木翔、野上結貴もプレー可能。指揮官にとって、手駒はある。
今季は「J1で一番下の順位からスタートする。できるだけ早い時期に残留を確定することが大切」と林卓人が語ったように、まずは現実的に残留をしっかりと果たすという意識で選手たちはシーズンに臨む。
ただ、山本拓也新社長が「原点に立ち返り、クラブ理念でもある育成型クラブとして再構築していきたい」と言及したように、若い選手たちを育成しながら結果を積み重ねるという作業も必要だ。そういう意味でも、今日の会見に出席しなかったが、川辺駿と吉野恭平、2人の若者が広島に戻ってきたという事実は大きい。2人とも磐田・京都で実績を積み重ね、自信をもって帰還。川辺は中村俊輔や名波浩監督から「日本代表を意識するべき」と言われるほどの力を身につけ、吉野は京都で主将を務めてチームリーダーとしての経験を積んできた。彼らが広島でポジションを確保してチームを牽引すれば、このチームのジャンプアップは大きく期待できる。
11日に行なわれた新ユニホームデザイン発表イベントに出席した川辺は、「紫のユニホームを着るために、外で修業してきた。そして、このチームで優勝するために、戻ってきたんです」と力強く語った。渡ら他の新加入選手たちも、広島が残留争いではなくタイトルを競い合うチームだと感じて、紫のシャツを着る。
現実は厳しい。しかし、優勝を争ってきたかつての輝きを取り戻すための陣容は、できつつある。
取材・文●中野和也(紫熊倶楽部)
「広島出身であることと今回の移籍はまったく関係ない。自分のサッカー人生を考えた時、広島でプレーすることがベスト。これまで1日1日、誰よりも必死にやってきたし、どこでやろうと(自分の)フットボールをやるだけ。ただ、広島には応援してくれる人が多いし、その人たちに恩を返すという気持ちはある」と言葉に力を込める。
もちろん、背番号9を手にして捲土重来を期す工藤壮人の意欲も高いだろうし、彼らとティーラシン、パトリックをどう組み合わせ、どういう形で起用していくか。城福浩監督の采配がまずは注目だ。
もう一つのポイントであるワイドにも、即戦力が集まった。大宮で攻守にバランスのとれたプレーを見せていた和田拓也と徳島でリーグ3位の9アシストを記録し、クロスに自信を深めてJ1に初挑戦する馬渡和彰。共にボールをしっかりとつないで主導権を握ろうとするチームで自身の存在感を強めていったスタイルで、広島との親和性も高い。
何より広島にいなかったサイドバックの専門職が加入したことによって、城福監督にしてみればフォーメーションの選択肢に幅が生まれたはずである。サイドバックには昨年急成長を見せた高橋壮也の他、本来はセンターバックである丹羽大輝や佐々木翔、野上結貴もプレー可能。指揮官にとって、手駒はある。
今季は「J1で一番下の順位からスタートする。できるだけ早い時期に残留を確定することが大切」と林卓人が語ったように、まずは現実的に残留をしっかりと果たすという意識で選手たちはシーズンに臨む。
ただ、山本拓也新社長が「原点に立ち返り、クラブ理念でもある育成型クラブとして再構築していきたい」と言及したように、若い選手たちを育成しながら結果を積み重ねるという作業も必要だ。そういう意味でも、今日の会見に出席しなかったが、川辺駿と吉野恭平、2人の若者が広島に戻ってきたという事実は大きい。2人とも磐田・京都で実績を積み重ね、自信をもって帰還。川辺は中村俊輔や名波浩監督から「日本代表を意識するべき」と言われるほどの力を身につけ、吉野は京都で主将を務めてチームリーダーとしての経験を積んできた。彼らが広島でポジションを確保してチームを牽引すれば、このチームのジャンプアップは大きく期待できる。
11日に行なわれた新ユニホームデザイン発表イベントに出席した川辺は、「紫のユニホームを着るために、外で修業してきた。そして、このチームで優勝するために、戻ってきたんです」と力強く語った。渡ら他の新加入選手たちも、広島が残留争いではなくタイトルを競い合うチームだと感じて、紫のシャツを着る。
現実は厳しい。しかし、優勝を争ってきたかつての輝きを取り戻すための陣容は、できつつある。
取材・文●中野和也(紫熊倶楽部)