これ以上ない夢の90分間。
1-0と勝利した試合の決勝点を決めたのは、ドイツ人MFのパスカル・グロスだったが、この日の主役が、“ブレイブ・ハート”の持ち主であったことは言うまでもない。クリスマスを前に人々の心を温めた復活劇の主人公は、初体験となったプレミアのピッチで誰よりもクールだった。
前半早々に相手へ2度のタックルをかまし、本拠地の観衆から拍手喝采を浴びた。見舞った相手の1人はアンドレ・グレイ。シュルーズベリーで同時期にプロ契約を結んだイングランド人ストライカーは、ゴールドソンのユース時代からの苦節を知る元チームメイトでもあっただけに両者とも感慨深げだった。
夢のデビュー戦ゴールの可能性もあった。しかし、CKから教科書通りに叩きつけたヘディングシュートは、相手守護神のエウレリョ・ゴメスに弾き出されてしまった。とはいえ、ゴールドソンにとっては、これ以上ない夢の90分になったはずだ。
フル出場を果たし、チームの7試合ぶりの勝利に貢献したゴールドソンは、堅実な守りを披露する一方で、自陣からの正確なロングフィードや、自ら持って上がって起点となるなど、攻撃面でも能力を発揮した。
その存在に、警告累積で出番を譲った格好のダフィーも、うかうかしてはいられないだろう。2部にいた一昨シーズンには、レギュラー格だった同い年のライバルが、ポジション争いにも戻ってきたのだ。
もっとも、そんなライバルのドラマチックなプレミア・デビューを真っ先に祝った1人が、「驚異的なパフォーマンスに、自分のことのように興奮しまくり!」とツイートしたダフィーであったことも、この物語の重要なシーンとなった。
ブライトンを舞台に演じられた不屈の勇者の復活劇は、聖なる夜に相応しいナイス・ストーリーだった。
文●山中忍
【著者プロフィール】
やまなか・しのぶ/1966年生まれ、青山学院大学卒。94年渡欧。イングランドのサッカー文化に魅せられ、ライター&通訳・翻訳家として、プレミアリーグとイングランド代表から下部リーグとユースまで、本場のサッカーシーンを追う。西ロンドン在住で、ファンでもあるチェルシーの事情に明るい。
前半早々に相手へ2度のタックルをかまし、本拠地の観衆から拍手喝采を浴びた。見舞った相手の1人はアンドレ・グレイ。シュルーズベリーで同時期にプロ契約を結んだイングランド人ストライカーは、ゴールドソンのユース時代からの苦節を知る元チームメイトでもあっただけに両者とも感慨深げだった。
夢のデビュー戦ゴールの可能性もあった。しかし、CKから教科書通りに叩きつけたヘディングシュートは、相手守護神のエウレリョ・ゴメスに弾き出されてしまった。とはいえ、ゴールドソンにとっては、これ以上ない夢の90分になったはずだ。
フル出場を果たし、チームの7試合ぶりの勝利に貢献したゴールドソンは、堅実な守りを披露する一方で、自陣からの正確なロングフィードや、自ら持って上がって起点となるなど、攻撃面でも能力を発揮した。
その存在に、警告累積で出番を譲った格好のダフィーも、うかうかしてはいられないだろう。2部にいた一昨シーズンには、レギュラー格だった同い年のライバルが、ポジション争いにも戻ってきたのだ。
もっとも、そんなライバルのドラマチックなプレミア・デビューを真っ先に祝った1人が、「驚異的なパフォーマンスに、自分のことのように興奮しまくり!」とツイートしたダフィーであったことも、この物語の重要なシーンとなった。
ブライトンを舞台に演じられた不屈の勇者の復活劇は、聖なる夜に相応しいナイス・ストーリーだった。
文●山中忍
【著者プロフィール】
やまなか・しのぶ/1966年生まれ、青山学院大学卒。94年渡欧。イングランドのサッカー文化に魅せられ、ライター&通訳・翻訳家として、プレミアリーグとイングランド代表から下部リーグとユースまで、本場のサッカーシーンを追う。西ロンドン在住で、ファンでもあるチェルシーの事情に明るい。