【コラム】日韓戦の惨敗劇は「監督のせい」じゃないのか?

カテゴリ:日本代表

加部 究

2017年12月17日

指揮官は会見の最後に言った。

国内組にとってW杯メンバー入りを懸けた最後のテストの場とされたE-1選手権。その最終戦で思わぬ結果となってしまった。(C) SOCCER DIGEST

画像を見る

 アマチュア時代の日韓戦は、日本が韓国のフィジカルにねじ伏せられることが多かった。一方でプロの時代が訪れると、韓国の選手たちが日本のテクニカルなスタイルに憧れ、Jリーグに参戦するようになる。裏返せば、日本はテクニックと創造性を活かした攻撃で、韓国にフィジカル重視で戦うことの限界を示唆したという見方もできる。
 
 確かに両国ともに国内組を中心に編成したE-1選手権では、韓国が完勝した。しかしACLの両国クラブの成績を見れば、逆にJクラブがKクラブを凌駕している。Jリーグ勢は3チームがグループリーグを突破し、準々決勝で川崎を大逆転した浦和が優勝したが、Kリーグでは浦和に敗れた済州ユナイテッドのベスト16が最高だった。
 
 もちろん韓国人選手の力を借りているJクラブもあるが、日本を代表するJクラブはいずれもハリルジャパンのようには戦っていない。強豪との対戦が続いた浦和が、堅守のためにデュエルの意識を高めたが、ゲーム支配を放棄し、偶発性に頼る裏へのロングフィードに依存するようなチームは見かけない。むしろ過剰にリスクとパスワークを回避するスタイルは、独断で日本の歴史を捻じ曲げている印象で、ハリルホジッチ監督からは日本の弱点についての指摘は繰り返されても、長所や何を武器に世界に挑むかについての言及はない。
 
 ワールドカップは結果がすべてだと言い切る現場関係者は多いが、本当にそうだろうか。韓国にお手上げのハリルホジッチ監督が、ワールドカップで結果を出す術を持ち合せているとは思えないが、もしこのサッカーで惨敗すれば未来に継承されるものは何もない。
 
 指揮官は会見の最後に言った。
「韓国の方が全ての面で勝っていた。それでも監督のせいで負けたというなら、そういう記事を書けばいい」
 戦術も選手も選択したのは監督だ。逆に他に敗因があるのだろうか。
 おそらく現体制を継続する限り、ロシアでも同じセリフを聞くことになる。
 
取材・文●加部 究(スポーツライター)
【関連記事】
【セルジオ越後】韓国相手に自信がなかったハリル監督では、ロシアW杯で勝てるわけがないよ
韓国メディアが痛恨のひと言…「ハリル監督になって日本の良さが霞んでいる」
【松木安太郎】韓国戦の敗因はベーシックな部分。日本には"戦える選手"がいなかった
金田喜稔が韓国戦を斬る!「ショックな敗戦。ハリルにこのまま任せていいのか疑問符が」
スーパーアシストの香川真司を現地紙が絶賛!「圧巻のパス軌道」「まさしく神出鬼没」
【韓国戦|戦評】まさかのサンドバック状態。ハリルは勝つ気があったのか

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 世界各国の超逸材を紹介!
    4月18日発売
    母国をさらなる高みに導く
    「新・黄金世代」大研究
    列強国も中小国も
    世界の才能を徹底網羅!!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ