甲府は1年でJ1復帰できるのか?ピッチ内外の現状を踏まえて再建の道を探る

カテゴリ:Jリーグ

大島和人

2017年12月04日

セットプレーは5得点の16失点と大赤字。

ドゥドゥ(左)とリンス(右)のふたりは活躍したが、攻め手はそれしかなかった。(C)SOCCER DIGEST

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 得点力不足に次ぐ問題は、下位相手の試合運びだった。今季の甲府は上位勢に対して五分の勝負を演じている。首位・川崎との戦績は2引き分けだったし、4位・柏、5位・横浜を下した試合もある。相手が攻め、甲府が耐える展開になると、堅守速攻のリズムが生まれ、甲府の持ち味は出る。
 
 一方で同格の相手には滅法弱かった。特に残留争いのライバルになった14位・清水、15位・広島、17位・新潟との戦績は2戦2敗。いわゆる「6ポイントマッチ」を落とし続けたことが、降格に直結した。
 
 補強にも計算外れがあった。エースとして期待されたウイルソンがフィットせず、21試合でPKを含めてもわずか2得点と低迷。彼が足を引っ張ったことで、チームは14節から6試合連続ノーゴールという地獄を見る。そのウイルソンは9月上旬にクラブを去った。代役として期待されたジュニオール・バホスも負傷で1試合の出場に止まり、今季も外国人が目まぐるしく入れ替わった。
 
 ドゥドゥ、リンスは5得点ずつを挙げており、貴重な働きを見せた。ただ甲府はふたり以外の攻め手をほとんど出すことができなかった。
 
 守備偏重という意見はおそらく無責任で、甲府がアグレッシブなスタイルに切り替えていたら今度は守備が崩壊していただろう。クロスゲームや落ち着いた展開に持ち込むことこそが甲府の生きる道で、吉田監督もそこは頑固に貫いた。それがスペクタクルでないといえばそうかもしれない。
 
 しかし打ち合いになれば、ゴール前のクオリティが試合をより大きく左右することになる。そして個のクオリティを手に入れるためには資金が必要だ。
 
 スモールクラブは得てしてセットプレーに活路を見出すものだが、今季の甲府はその”収支決算”も悪かった。今季の甲府がセットプレーから奪った得点は5で、失点は16という大赤字。チームが決してそこを軽視していたわけでなく、練習の時間を割いて取り組んでいたが、結果に結びつかなかった。
 
 広島、新潟、大宮といった下位クラブはシーズン中に監督を変えてテコ入れを図った。甲府は吉田監督でシーズンを戦い抜き、来季の更新もすでに発表している。
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