【W杯ドキュメント】メンバー発表のドラマ|岡田監督が重視したコンセプトと闘争心

カテゴリ:日本代表

週刊サッカーダイジェスト編集部

2014年05月10日

「力のある選手を上から23人選んだわけではない」

悲観論や懐疑論が渦巻くなかでのメンバー発表。岡田監督に対する風当たりの強さは、本大会直前まで続いた。 (C) SOCCER DIGEST

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 今になって思えば、3月3日のバーレーン戦と4月7日のセルビア戦に、「活動期間が短いから」という理由があったとはいえ、GKを楢崎正剛と川島永嗣の2名しか招集しなかったところに、今回の決断への伏線が隠されていた気がする。
 
 裏を返せば、そうしたメンタル面の整備、つまりチームを戦う集団にさえできれば、十分にワールドカップの舞台で世界と伍して戦えるとの思いが、岡田監督の頭の中には強くあるようだ。
 
「アグレッシブに、攻守にわたって全員でハードワークする。そういうサッカーをやりたい」
 
 振り返れば、岡田ジャパンは発足当初から常に結果を求められる環境に身を置いてきた。イビチャ・オシム前監督が病に倒れ、急きょ発足したのが07年12月。ベース作りに費やす時間がほとんどないなか、わずか2か月後に始まるワールドカップ・アジア予選を通じて、チーム作りを行なわざるを得なかった。失敗が許されないなか、08年3月のバーレーン戦の敗戦を境に、主力メンバーは固定化され、それがチームの色となっていった。
 
 今回の選考について、「力のある選手を上から23名選んだわけではありません」との言葉が、指揮官の頑固さを物語る。重視したのは、チームコンセプトを体現できるかどうか。揺るぎない信念の前では昨シーズンのJリーグMVPに輝いた小笠原満男の名も、今季の清水の躍進を支える小野伸二の名も、輝きを放つことはなかった。
 
 岡田監督はこの日が近づくにつれて、メンバーの8割が固まっていることを公言してきた。では、残りの2割を決めるうえで、コンセプトの理解度のほかに何が重視されたのか。それが、試合中の様々な状況を想定したうえで、どのような選手が求められるのか、ということだった。
 
 守備面に関しては、阿部勇樹や今野泰幸という複数のポジションをこなせる選手をチョイスしたうえで、「最後に(相手に)パワープレーをされる可能性」を想定し、第3の本職CBとして岩政大樹を呼び戻した。岩政は前述した2月の韓国戦で、闘莉王退場後にピッチに投入されるも、周囲との連携不足を露呈し、その後メンバーから外されている。想定する緊迫した展開での起用を考えれば、少しでもチームに馴染ませる時間が必要だった気がするが……。
 
 また、指揮官の頭を最も悩ませたと考えられるのがFW陣だ。当確と見られていたのは、継続的に招集されてきた岡崎慎司と玉田圭司のふたり。最終的に岡田監督は、ここに5枠を割り当てたが、驚きをもって迎えられたのが矢野貴章の選出だ。
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