【W杯ドキュメント】メンバー発表のドラマ|ジーコの我慢と信念

カテゴリ:日本代表

週刊サッカーダイジェスト編集部

2014年05月09日

ジーコが他の誰よりも高く評価していた久保。

FWの中心に添えていた久保を失ったことは、ジーコのビジョン、チームの動向にどれほどの影響を与えたのだろうか。 (C) SOCCER DIGEST

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 激戦区のMFで一番に呼ばれた福西崇史がボランチに入る。そしてその控えには稲本潤一。中田英寿は、福西とボランチでコンビを組む。そして、その控えに小野伸二が入る。
 
 2列目は右が小笠原満男で、その控えに遠藤保仁。遠藤はボランチも攻撃的MFも、高水準でこなせるMF全体の控え選手という位置なのだろう。そして、これに中村俊輔と続いた。
 
 遠藤は多くの報道で、当落線上の選手のひとりとされていた。当の本人も発表直前まで、「自分もそう思う」と言っていたぐらいだ。しかしジーコ監督は、当初から遠藤をしっかりリストに入れていた。その秘密は、遠藤が日本代表で付けている背番号「4」にある。

 ジーコ監督は自ら現役時代につけていた10よりも、4を自分の番号として好んでいる。「あんなにバランスが良く、美しい数字はない」と、草サッカーなどでは4がジーコ監督の背番号なのだ。そのお気に入りの数字を「ぜひ、遠藤に付けさせたい」としてスタッフに指示。それだけ遠藤が、大事な選手のひとりであることが分かる。
 
 最後にFW。注目の2トップは、高原直泰と大黒将志だ。次に故障明けの柳沢敦、そして玉田圭司と続いたが、玉田に関しては「2列目の飛び出しに大いに期待している」とジーコ監督は語る。
 
 得点力不足という日本サッカー界の長年のアレルギーが、本大会でいきなり解消されることは考えにくい。そこでジーコ監督は被ファウル率に着目し、今回は選考を見送られた鈴木隆行に続く2位の玉田に、白羽の矢を立てた。ファウルの後は、中村の精度の高いFKに賭けるという意味を含めての選考だ。
 
 そして400人近い報道陣から「うぉ~」というどよめき上がった巻誠一郎は、「5番手FW」というポジション。「日本代表になるためには序列がある。平山相太には、その順番待ちをしてもらっている」とジーコ監督は話したが、巻の場合はその順番が土壇場でやってきたのだった。
 
 一方、落選した久保竜彦。これまでジーコ監督は久保を、当確組のひとりどころか、「ドイツでは彼が主力のストライカーだ」と、他の誰よりも評価していた。昨年末のクリスマス休暇でブラジルに帰郷した際、母国の報道陣に対し、ジーコ監督は「日本を侮るな。その理由は、久保というストライカーを見てもらえれば分かる」と言い続けていた。しかし、キリンカップ直前に故障が再発。発表会見の後、「大会前とその後、2~3人のレベルに悩んでいた」と語ったジーコ監督。そのひとりが久保だったのだ。
 
 久保の落選で、確かに日本協会にもジーコ監督に対する抗議の電話は鳴った。しかし、それは98年の三浦知良、02年の中村俊の時とは、比較にならないほど少なかった。
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