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元アーセナル戦士の独白(2)――あの北朝鮮戦の真相とポジティブで居続ける理由「最期に父と話せなかったから…」

カテゴリ:メガクラブ

羽澄凜太郎(サッカーダイジェストWeb)

2017年11月23日

プロフットボーラーも楽じゃない。それでも男は――。

ファンやメディアからとてつもないプレッシャーを受けるプロフットボーラー。キャリアを続けていくことは決して楽なことばかりじゃないが、エブエは……。 (C) REUTERS/AFLO

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エブエはファンやチームメイトはもちろんのこと、対戦相手からも愛された。 (C) Getty Images

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 とはいえ、常に明るく振る舞い続けることは楽ではない。しかも、メディアやファンからのプレッシャーと格闘し続けなければならないプロフットボーラーであれば、精神的ダメージは増す。
 
 近年では精神的疲労が蓄積し、うつ病を患ってしまう選手も少なくない。今年4月には、エバートンに所属する元イングランド代表MFのアーロン・レノンが、道路で20分以上も立ち尽くしていたところを警察に保護され、そのまま精神病院に運ばれてうつ病と診断されたことが、英国を中心に各国のメディアで話題となった。
 
 そうした事例に対してエブエは、「それはプロフットボーラーという仕事が楽じゃないからだ」と、持論を話してくれた。
 
「ポジティブで居続けるのは簡単なことじゃない。それにこの業界は、メンタル的にかなりのプレッシャーを受けるからね。落ち込んでいたら、自分を見失う。だからこそ、明るく考えないとダメなんだ」
 
 かく言うエブエの置かれた現況は、決してポジティブに振る舞えるようなものではない。というのも、今年10月にサインを交わしたキプロスのリマソルから、わずか1日で契約を打ち切られ、34歳の身にして、いまだ無所属の状態が続いているからだ。
 
 さらにトルコ紙『Fanatik』に「HIVウイルスに感染した」という事実無根の情報を流され、メディアからの酷い追及にも遭い、「移籍に関する問題は、自分にとってとても辛いものだった」と、本人も話している。
 
 それでもエブエはいたって前向きだ。「僕はプレッシャーを感じてない。全てを神の手に委ねている。導かれたところでプレーするつもりだよ」と、過酷な状況にもかかわらず、マイペースを貫いている。
 
 アーセナルでの奮闘の日々や、これからのサッカーキャリア、さらには人生観まで、全てを包み隠さずに話してくれたエブエは、最後に次のような言葉を残してくれた。
 
「人生は常にポジティブでなくちゃね。そうでなかったら、自分自身を殺してしまうことになるんだ。トライしなきゃ、人生はつまらないでしょ?」
 
 この男、あのヴェンゲルが見込んだだけのことはある。どこまでも明るく、そして全く折れない精神力を持っていた――。
 
取材・文●羽澄凜太郎(サッカーダイジェストWeb編集部)
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