【現地発】強きユナイテッドを蘇らせたのは、イブラやルカクではなく“将軍”ポグバだ!

カテゴリ:メガクラブ

山中忍

2017年11月20日

イブラの復帰、ルカクの久々のゴールにポグバは…。

傑出した出来を見せつけたポグバ(右)をモウリーニョ(左)は、「他の選手とは違う」と手放しで褒めちぎった。 (C) Getty Images

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 チームを変貌させた「効能」の大きさを考えれば、この試合でポグバが記録した1ゴール・1アシストは、もはや嬉しい「おまけ」に等しいものだった。とはいえ、そのインパクトは、いずれも特筆に値する。
 
 37分、敵ペナルティーエリアの右脇でボールを持ったポグバが、軽快なステップと巧みなボール捌きで相手DFを振り切ってから放ったチップ気味のクロスは、マルシアルのヘディングによる同点ゴールを呼んだ。
 
 54分に繰り出したカウンターからの得点シーンは、ロメル・ルカクのクロスをラッシュフォードが頭で落としたところに、独特な大きなストライドで走り込んできたポグバが、冷静に流し込んだものだった。このチーム3点目はマンチェスター・Uの勝利を決定付ける一撃だった。
 
 復帰初戦だったポグバが大事を取って70分でベンチに退いた後も、マンチェスター・Uに見せ場はあった。
 
 ポグバが下がった直後には、7試合連続無得点中だったルカクがようやくその呪縛から解き放たれ、77分にはサポーターが待望していたイブラヒモビッチがピッチに送り出され、軽やかなジャンピングボレーでゴールに迫ってもいた。
 
 だが、3、4点差の勝利を重ねた今シーズン開幕当初の勢いが蘇ったマンチェスター・Uの象徴は、ルカクの得点をベンチ脇のトンネルでファンと喜び合っていたポグバだった。
 
 英国メディア『BT Sports』のヒーローインタビューで、イブラヒモビッチと共に呼ばれたポグバは、インタビュアーから「君が戻って、ルカクがネットを揺らして、イブラヒモビッチもピッチに立ったね」と振られると、「それ以上、望むものなんてないっしょ!」と、余裕綽々な表情で笑い飛ばした。
 
 中核を担うべき主役が戦列に復帰し、モウリーニョ就任2年目に望まれる攻撃力と、低下しかけていたムードが活性化されたマンチェスター・U。首位を快走するマンチェスター・シティとの8ポイント差は変わらないが、久しぶりに足取りも軽くオールド・トラッフォードを後にした赤い悪魔のサポーターたちは、宿敵との差が近く感じられたことだろう。
 
文:山中忍
 
【著者プロフィール】
やまなか・しのぶ/1966年生まれ、青山学院大学卒。94年渡欧。イングランドのサッカー文化に魅せられ、ライター&通訳・翻訳家として、プレミアリーグとイングランド代表から下部リーグとユースまで、本場のサッカーシーンを追う。西ロンドン在住で、ファンでもあるチェルシーの事情に明るい。
 
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