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【選手権出場校】滋賀・草津東|伝統校に新鋭あらわる! 無名の1年生がレギュラーを掴むまで

カテゴリ:高校・ユース・その他

安藤隆人

2017年11月19日

憧れは岡崎慎司。「今日もダイビングヘッドは狙っていました」

群雄割拠の滋賀予選を制し、草津東が3年ぶりの本大会行きを決めた。写真:安藤隆人

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  3年ぶり9度目の選手権出場の”影のヒーロー”となった渡邉。中学まではまったく無名の存在だった。

 滋賀県の3種(中学年代)はクラブチームが主流で、甲南中学サッカー部だった彼は、「トレセンの選考会に行っても肩身が狭い想いだったし、(トレセンに)選ばれることは一切なかった」と語るように、中体連の選手の立場は高くない。だが、ひとつ上の兄が草津東に進学したことで、渡邉の意識が変わる。「兄と一緒に草津東でサッカーをしたい」と願い、名門の門を叩いたのだ。
 
「入学したとき、3年生になっても試合に出られないだろうなと思っていました」。相当な覚悟だった。たとえ3年間、Aチームの試合に出られなくても、一番下からのスタートでも草津東でサッカーがしたかった。
 
 その決意は入学直後、いきなり結果をもたらす。1年生新人大会の準決勝で4得点を叩き出すと、Aチームにも呼ばれるようになったのだ。その後も関西U-16~Groeien~2017のG2リーグにおいて、第3節の近大付戦、第4節の近大和歌山戦で2試合連続2得点の計4得点をマークするなど好調を維持。8月に入ってプリンスリーグ関西で出場機会を掴むと、第15節の近大付戦でハットトリックを達成。一気にその才能を開花させ、そこからはスタメンに定着した。3年間どころか、1年からレギュラーの座をその手に掴んだのだ。
 
「小学校の頃からヘッドは自分の武器だと思っていますし、クロスに合わせるプレーだったり、なによりがむしゃらさが売りだと思っています。僕は岡崎慎司選手に憧れていて、ダイビングヘッドや身体を投げ出してでもゴールを奪う姿勢を見習っています。今日もダイビングヘッドは狙っていました(笑)」(渡邉)
 
 自分が巧いとは思っていない。だからこそ、誰よりもがむしゃらに、誰よりも貪欲にゴールに迫っていかなければいけない。県決勝でのゴールはなかったが、その劇的な決勝弾は、彼のバーを叩くヘッドから生まれた。

 まさに天然素材と言える1年生ストライカー、渡邉颯太。そのポテンシャルの高さを随所で感じさせた。選手権本大会でも輝きを放つか。覚えておいてほしい名前だ。

取材・文 安藤隆人(サッカージャーナリスト)
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