選手権・滋賀決勝で一番目を引いたのは、24番を背負う草津東の１年生ストライカー、渡邉颯太だ。
 
　178センチのサイズと天性のバネを持つ彼は、空中戦に自信を持つ。落下地点を素早く読み、最短距離を辿って点で合わせるのが巧い。さらにヘッドだけではなく、裏への飛び出しのタイミングとスピード、ボールへの反応速度も非凡だ。バイタルエリアで何度も動き直しては前向きに仕掛けられる、まさに陸空兼用の高性能のストライカーと言っていいだろう。
 
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　11月18日の県決勝。前半は近江のテンポの良い攻撃に押し込まれ、前線での孤立が目立った。しかし後半はボランチからの組み立てがスムーズになり、徐々に存在を誇示。後半９分には右FKからファーサイドに飛び込んでシュートを放ち、同15分にはカウンターからMF夘田康稀（２年）のスルーパスにグンと加速して抜け出し、相手のファウルを誘って絶好の位置でのFKを獲得。MF竹端勇人（３年）の放ったFKは近江の守護神・土屋ヒロユキ（２年）のファインセーブに遭うも、チームに流れを引き寄せるビッグプレーとなった。

　その後も渡邉の勢いは止まらない。後半34分にも左CKをドンピシャヘッドで合わせるが枠の外。40分には高速ドリブルで一気に相手陣内に切れ込むなど、ゴールの匂いを漂わせ続けた。
　
　そして、ついに最大の見せ場が訪れる。後半アディショナルタイム２分だ。

　左スローインから、同サイドにいたボランチの山本佳輝（２年）にバックパスが渡った瞬間、渡邉はファーサイドの裏のスペースに猛然とダッシュ。山本からのピンポイントクロスが届くと、高い打点のヘッドを放った。GKの頭上を破ったボールはバーの下に直撃し、ゴール前にこぼれた。このボールに反応したMF上野広人（３年）がシュート。一度はGKに阻まれるが、こぼれ球を再び押し込んで、草津東が待望のゴールを奪った。

　このゴールが決まった直後、試合再開を待たずしてタイムアップのホイッスルが鳴り響いた。終了間際の劇的弾で、草津東が１−０の勝利を手にした。