【U-18プレミアリーグ】強豪チームの現在地|京都U-18編

カテゴリ:高校・ユース・その他

安藤隆人

2014年05月08日

チーム一丸となって生まれた会心のゴール。

多彩なドリブルテクニックを誇る奥川雅也。個性の強い面々とともに、力強いアタックで初勝利に貢献。 (C) SOCCER DIGEST

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 結果として、この試合で選手たちは川勝監督の期待に応えるプレーで、京都橘を4-0で下し、今季リーグ初勝利を手にした。
 
 この試合、川勝監督はこれまでの4-1-4-1ではなく、4-4-2を採用。これまでスーパーサブ的な存在だった松下をリーグ戦に初先発で起用し、左サイドのアタッカーだった奥川と2トップを組ませた。ドリブル突破を得意とする奥川と、スピードがありワンタッチプレーも巧い松下を最前線に配することで、彼らの前への推進力を前面に押し出した。
 
 また、トップ下だった永島をボランチに下げて、宅野海里とダブルボランチを組ませることで、永島のキープ力と展開力を活かして攻撃の起点を作るだけでなく、攻守のバランスを整えるようにした。そして、CBだった荻野広大を右SBに移し、本来はボランチのU-16日本代表・麻田将吾をCBに起用。左足から繰り出す麻田の精度の高いロングフィードを活用し、最終ラインから積極的に攻撃を組み立てていく狙いがあった。
 
「何かを変えないといけない。今こそ変わる時」
 
 この指揮官のメッセージをしっかりと受け止め、前半から選手たちは互いの個性を発揮したサッカーを披露。CB麻田、MF永島が攻撃のスイッチを入れるパスを何度も繰り出し、奥川、松下、大西、左MFに入った沼大希を積極的に走らせて、縦への圧力を強める。32分には奥川のドリブル突破からのスルーパスを、ゴール前に飛び出した大西が決めて、先制点。35分には、左サイドを破った沼のクロスを、再び大西がヘッドで押し込んで追加点を挙げる。
 
 そして、68分の3点目は、まさにチーム一丸となって奪ったものであった。京都橘のカウンターを浴び、アタッキングエリア中央でボールを受けたエース中野克哉に、強烈なシュートを放たれるが、これを大西が身体を張ってブロック。至近距離で身体を投げ出して阻んだボールを、途中出場のFW門司康成が拾うと、一気に前線に飛び出して行った奥川へ。奥川がそのままドリブルして放ったシュートは左ポストを叩くが、跳ね返りを執念で押し込んで3点目を決める。
 
 このシーンは、まさに全員がゴールへ向かって、同じ方向を向いていたからこそ生まれたものであった。そして、「危機感を持って戦う」という強い共通意識の浸透が、4-0の勝利をもたらしたと言える。
 
「やっとチームとして戦える形ができた。結果が出ず、ちょっと自信を失いつつあったけど、苦しい時だからこそチームとしてプレーする大切さを分かってくれたと思う。今日はそれがピッチに出ていた」(川勝監督)
 
 大きな一歩を踏み出すことができた京都U-18。頼みの守護神・若原大も復帰のめどが立ち、日本クラブユース選手権関西予選からプレーができそうだという。精神的支柱が復帰する前に、浮上のきっかけとメンタル的な強さを手にできたことは、大きなプラス材料となる。苦しみを味わった古都の強豪クラブは、『プレミアリーグ優勝』という目標に向かって、巻き返しのリスタートを切った。
 
取材・文:安藤隆人(サッカージャーナリスト)
 
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