最大の問題はチームではなくクラブにある。
7節を終えて国際Aマッチウィークによる1週間の小休止に入った時点におけるミランのセリエA成績は、4勝0分け3敗(10得点・10失点)で勝点12の7位。昨シーズンの同じタイミングでは4勝1分け2敗(12得点・10失点)で勝点13の5位だったので、わずかながら後退していることになる。
イタリアのマスコミでは、ミランが今シーズンに向けて2億ユーロ(約256億円)近い大枚を投じた大型補強によって戦力を大幅に強化したことに焦点を合わせ、補強に見合った結果が出ていない理由をモンテッラ監督の手腕や、レオナルド・ボヌッチなど主な新戦力のパフォーマンスに見出そうとする論調が強い。
だが、筆者はこの見方にはあまり賛同できない。最大の問題はむしろ、ここまで見てきたようなクラブ内部の緊張、プレッシャー、軋轢にあるように思われるからだ。そして、それを作り出し増幅させているのはチーム(監督、選手)ではなくクラブ(GD、SD)の側である。
サンプドリア戦後、わざわざ自分からマスコミの前に出てチームを厳しく批判したファッソーネGDの目線は、内部(チーム)よりもむしろ外部(サポーターやマスコミ)の方を向いているように見える。
コメントの端々には、説得力を欠いた不甲斐ないパフォーマンスを見せたチームが、「何らかの問題を抱えていることはクラブも十分承知しており、それに対処する用意がある」とアピールすることで、予想される外部からの批判に対して先手を打っておきたいという意図が感じられる。
しかし同時に、その批判の矛先をクラブ(自ら)ではなくチームの現場(とりわけ監督)へと向けようという意図が滲み出ていることも否定できない。「戦力は揃えたのだから格下のチームに勝てないのはおかしい」と言い募ることが、チームが困難に直面している時にクラブが取るべき正しい振る舞いかと問われて、肯定的な答えを返すことは難しい。
今シーズンのミランが、スタメン11人中8~9人を新戦力で構成するチームであることは周知の通り。ほとんどゼロから再構築しなければならない以上、戦術的な側面はもちろん、それ以上にグループとしての結束や自分たちの力に対する自信・確信というメンタル的な側面において、「ひとつのチームとしてでき上がる」までにそれなりの時間と試行錯誤を必要とするのは、当然でありまた自明のことだ。
だとすれば、その過程においてクラブに求められるのは、外部からの批判や圧力に対する盾になってチームを守り、モンテッラ監督と選手たちが落ち着いてチームの構築に取り組める環境を保証することだろう。
目先の試合結果に振り回され、マスコミの前にわざわざ出ていってチームを非難するというのは、その正反対の振る舞いである。クラブのトップが、まだ試行錯誤のプロセスにあるチームのパフォーマンスを取り上げて一喜一憂したり、不安に駆られてうろたえたりすることは、チームを取り巻く状況を悪化させることにしかならない。
イタリアのマスコミでは、ミランが今シーズンに向けて2億ユーロ(約256億円)近い大枚を投じた大型補強によって戦力を大幅に強化したことに焦点を合わせ、補強に見合った結果が出ていない理由をモンテッラ監督の手腕や、レオナルド・ボヌッチなど主な新戦力のパフォーマンスに見出そうとする論調が強い。
だが、筆者はこの見方にはあまり賛同できない。最大の問題はむしろ、ここまで見てきたようなクラブ内部の緊張、プレッシャー、軋轢にあるように思われるからだ。そして、それを作り出し増幅させているのはチーム(監督、選手)ではなくクラブ(GD、SD)の側である。
サンプドリア戦後、わざわざ自分からマスコミの前に出てチームを厳しく批判したファッソーネGDの目線は、内部(チーム)よりもむしろ外部(サポーターやマスコミ)の方を向いているように見える。
コメントの端々には、説得力を欠いた不甲斐ないパフォーマンスを見せたチームが、「何らかの問題を抱えていることはクラブも十分承知しており、それに対処する用意がある」とアピールすることで、予想される外部からの批判に対して先手を打っておきたいという意図が感じられる。
しかし同時に、その批判の矛先をクラブ(自ら)ではなくチームの現場(とりわけ監督)へと向けようという意図が滲み出ていることも否定できない。「戦力は揃えたのだから格下のチームに勝てないのはおかしい」と言い募ることが、チームが困難に直面している時にクラブが取るべき正しい振る舞いかと問われて、肯定的な答えを返すことは難しい。
今シーズンのミランが、スタメン11人中8~9人を新戦力で構成するチームであることは周知の通り。ほとんどゼロから再構築しなければならない以上、戦術的な側面はもちろん、それ以上にグループとしての結束や自分たちの力に対する自信・確信というメンタル的な側面において、「ひとつのチームとしてでき上がる」までにそれなりの時間と試行錯誤を必要とするのは、当然でありまた自明のことだ。
だとすれば、その過程においてクラブに求められるのは、外部からの批判や圧力に対する盾になってチームを守り、モンテッラ監督と選手たちが落ち着いてチームの構築に取り組める環境を保証することだろう。
目先の試合結果に振り回され、マスコミの前にわざわざ出ていってチームを非難するというのは、その正反対の振る舞いである。クラブのトップが、まだ試行錯誤のプロセスにあるチームのパフォーマンスを取り上げて一喜一憂したり、不安に駆られてうろたえたりすることは、チームを取り巻く状況を悪化させることにしかならない。