「進退という言葉が初めて頭をよぎった」とも。
むろん、今回のイニエスタの「ノー回答」の背景には、バルトメウ会長をはじめとするクラブ幹部への小さくない失望が隠されている。
「このクラブの繁栄のために人生を賭けてきた人間に対するリスペクトを失うことはあってはならない。進退という言葉が自分の中で現実味を増している。以前にはなかった感覚だよ」
イニエスタは我が『エル・パイス』紙のインタビュー(8月19日付)で、こう発言していた。しかし、このメッセージを発した後も、経営陣は表面的な態度を取るばかりで、8月下旬に行われた食事会も兼ねた決起集会で選手間で起こったイニエスタに対する「残留コール」も、解決を後押しする効果を果たすことはなかった。
このイニエスタの契約延長交渉について、バルトメウ会長は幹部に一任している。だが、イニエスタ側とスムーズな橋渡し役を果たせる人物が見当たらず、決して楽観視できない状況となっている。交渉のたびに状況は悪化しているのが現状で、それだけイニエスタの落胆の度合いも増している。
詰まるところ、イニエスタは長年の功績に対する相応の評価をクラブに求めているのだが、フロント幹部は中身の伴わない提示をするのみ。この大きな溝が埋まらない限り、契約延長合意は困難な状況だ。
クラブ側はプランの見直しを迫られている。しかし、肝心のバルトメウ会長がイニエスタとギクシャクした関係になっていることが、事の危険性を助長させている。
近年、メッシ、ルイス・スアレス、ネイマールからなるMSNトリオを戦術的な軸にしてきたバルサにあって、中盤では彼らの守備負担を軽減でき、攻撃でも黒子に徹せるアスリート能力に長けたタイプの選手が重要度を高めていった。
そんな中、ゲームを落ち着かせ、さらに正確無比な一撃必殺のスルーパスを通せるイニエスタは、攻撃の切り札的存在に位置づけられた。とはいえ、すでにオーバー30でフル稼働は難しい。そのため前監督のルイス・エンリケは、重要な試合でその能力を発揮してもらおうと、ことさら温存する傾向が強かった。
しかし、その構想はイニエスタに試合勘の喪失というマイナスの作用をもたらし、果ては本来の輝きまで失わせる結果となった。
「このクラブの繁栄のために人生を賭けてきた人間に対するリスペクトを失うことはあってはならない。進退という言葉が自分の中で現実味を増している。以前にはなかった感覚だよ」
イニエスタは我が『エル・パイス』紙のインタビュー(8月19日付)で、こう発言していた。しかし、このメッセージを発した後も、経営陣は表面的な態度を取るばかりで、8月下旬に行われた食事会も兼ねた決起集会で選手間で起こったイニエスタに対する「残留コール」も、解決を後押しする効果を果たすことはなかった。
このイニエスタの契約延長交渉について、バルトメウ会長は幹部に一任している。だが、イニエスタ側とスムーズな橋渡し役を果たせる人物が見当たらず、決して楽観視できない状況となっている。交渉のたびに状況は悪化しているのが現状で、それだけイニエスタの落胆の度合いも増している。
詰まるところ、イニエスタは長年の功績に対する相応の評価をクラブに求めているのだが、フロント幹部は中身の伴わない提示をするのみ。この大きな溝が埋まらない限り、契約延長合意は困難な状況だ。
クラブ側はプランの見直しを迫られている。しかし、肝心のバルトメウ会長がイニエスタとギクシャクした関係になっていることが、事の危険性を助長させている。
近年、メッシ、ルイス・スアレス、ネイマールからなるMSNトリオを戦術的な軸にしてきたバルサにあって、中盤では彼らの守備負担を軽減でき、攻撃でも黒子に徹せるアスリート能力に長けたタイプの選手が重要度を高めていった。
そんな中、ゲームを落ち着かせ、さらに正確無比な一撃必殺のスルーパスを通せるイニエスタは、攻撃の切り札的存在に位置づけられた。とはいえ、すでにオーバー30でフル稼働は難しい。そのため前監督のルイス・エンリケは、重要な試合でその能力を発揮してもらおうと、ことさら温存する傾向が強かった。
しかし、その構想はイニエスタに試合勘の喪失というマイナスの作用をもたらし、果ては本来の輝きまで失わせる結果となった。