【現地発】ベイルの“らしいゴール”を生んだ「ジダンの信頼」

カテゴリ:メガクラブ

エル・パイス紙

2017年09月21日

ジダンも「とても嬉しい」と笑みを浮かべる。

ジダン(右)はベイル(左)が万全ではないことを承知で粘り強く起用し、コンディションを取り戻させようとしている。(C)REUTERS/AFLO

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 ジダンはソシエダ戦前日の記者会見で、それまで低空飛行が続いたベイルに関して、「4か月間も戦列を離れていたのだから、怪我をする前のコンディションに取り戻すには同じ期間が必要だ」と擁護。さらに過去5試合で6得点をマークと相性のいいスタジアム(アノエタ)でプレーすることを追い風に、ゴールを期待するとも語っていた。
 
 ベイルのゴールにジダンも歓喜したのは、そんな親心も込められていたからだった。試合後に指揮官は「とても嬉しい。ガレスはゴールを必要としていた。しかも彼らしいゴールだったしね」と笑みを浮かべた。
 
 両チームの選手のスタミナや体力が落ちる60分過ぎ、しかも雨でピッチが重くなった中での70メートルの独走弾は、ベイルがマドリーで決めた中で最も価値のあるゴールの一つ。60メートルを7.2秒で駆け抜けて対峙するマルク・バルトラ(現ドルトムント)を置き去りにし、左足で流し込んだ2013-14シーズンのコパ・デル・レイ決勝戦での優勝ゴールを彷彿とさせるものだった。
 
 しかしジダンは、ベイルの現状についてこう分析する。
 
「まだまだ本来の姿ではない。少しずつ調子を取り戻していってもらいたい。ガレスはもっといいプレーができる。ただ、それには我慢が必要だ」
 
 ジダンには確固とした根拠がある。マドリーでは全ての選手に対し練習中にGPSを装着することを義務付けており、毎日その結果を詳細に分析。ベイルについてもスピードを含めた様々な数値に伸びしろがあることを把握しており、それを前提とした発言なのである。
 
 いずれにせよ、ベイルが復調するには継続した出場機会が不可欠だ。だからこそ不要論が叫ばれる中でも、ジダンは継続して起用しているのであり、こうした主力に対する一貫した信頼は、アルバロ・モラタ(現チェルシー)が猛烈なアピールを見せる中でも、先発起用を続けた昨シーズンのカリム・ベンゼマのそれと相通じるものがある。
 
 こうした指揮官の一貫性は、若手の抜擢にも見られる。ソシエダ戦のボルハ・マジョラルの先発起用はその一例で、このスペインU-21代表FWも先制ゴールという結果でその期待に応えた。
 
 チームという車輪に組み込めば、選手たちは期待に応えてくれる――。それがジダンの掲げる流儀のひとつなのだ。
 
文:エレオノラ・ジオビオ(エル・パイス紙/レアル・マドリー番記者)
翻訳:下村正幸
※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙の記事を翻訳配信しています。
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