“来季昇格できない”沼津がJ3首位に! 彼らはなぜ熱く、勝利へ邁進できるのか

カテゴリ:Jリーグ

大島和人

2017年09月19日

27年の歴史があるクラブ。「子どもたちの見本になるんだ」という想いで。

沼津を率いる吉田監督。「取られたら取り返すという本質の部分を要求している」と語る。写真:大島和人

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 殊勲の白石はチームメイトの薗田卓馬とともに『富士山ドリームビレッジ』という企業に勤務している。「放課後のデイサービスで学校まで迎えに行って、障害児に勉強を教えたり、一緒にサッカーをしたりしている」という大卒2年目の選手だ。
 
 彼は残る10試合に向けて、優勝への思いをこう口にしていた。「2位と優勝は違う。優勝して東部の皆さんに夢を与えて、J2・J1にこのチームで行きたいと思っている。まずは昇格圏内で終わって名を轟かせたい」
 
 繰り返しになるが沼津には昇格の資格がない。ただ群馬県出身、前橋育英高OBの白石にとっては、こんな『モチベーション』もある。彼は苦笑気味にこんなことを明かしてくれた。
 
「僕はザスパを毎試合見ていますが、今調子が悪くて落ちそうという中で、もし沼津と秋田が1位2位でフィニッシュしたら降格はなくなる。少しモチベーションにもなっています。僕はザスパのことばかり言っているので、すごくみんなにいじられるんですよ」
 
 もちろんザスパクサツ群馬が自力で順位を上げれば何の問題もないのだが、J2の降格圏内にいるクラブの関係者やサポーターにとって、沼津と秋田の奮闘は決して小さくない後押しだろう。
 
 それにしても沼津はなぜそんな環境で勝てるのか、戦えるのか――。それを問うた記者に対して、吉田監督はこう語り始めた。
 
「悪環境の中で反骨心がすごく強くて、向上心も持っている。こちらが言わなくても上を目指すんだ、優勝するんだという思いがある。それがプレーに直結している」
 
 記者はこう問い直した。
――その思いは元から選手たちに備わっていたのか? それともそういうカルチャーがあるのか? 何か特別なアプローチをしているのか?
 
指揮官はこう続けた。
「僕らのクラブは今年初めてJリーグに参入していますけれど、27年の歴史があって、子どもたちの見本になるんだという思いでやっている。プレーも美しいものではなく、しっかりボールを追いかける、取られたら取り返すという本質の部分を要求しています。それができる選手しか獲得していませんし、チームに根付いたものでもあると思います。これからもそういう選手を獲っていきたいとも思いますし、沼津はそういうチームだと思ってもらいたい」
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