ハリルでW杯を勝てるのか?――惨敗を繰り返さないための準備なら比較的順調だ

カテゴリ:日本代表

加部 究

2017年09月06日

ハリルホジッチ監督は、結果を請け負う典型的な勝負師。

オーストラリア戦で抜擢された浅野。そのスピード豊かなプレースタイルがハリルホジッチ監督の狙いに適合した。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

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 ザック時代とは、完全に戦い方が一変した。前回ブラジル大会の最終予選では、日本代表がポゼッションで劣る試合はなかった。むしろ6割を超えるボール支配で圧倒して弾みをつけ、危なげなく本大会の切符を手にしている。ただし世界に出た時に、アジアとの落差に戸惑い、1分け2敗という終焉を迎えるのだった。
 
 その点でハリルの場合は、最初から世界での立ち位置を想定し、リアクションも折り込み済みなので、本大会になっても大きな修正点はない。あとは前回大会でアルジェリアを率いた時と同様に、対戦相手に応じてコマを使い分け、堅守から少しでも可能性を広げていくことになる。
 
 ハリルホジッチ監督が苛立つ最大の要因は、自ら下した日本サッカーへの客観判断と、メディアを中心とした期待値との落差だろう。ハリルには、明らかに諦観があり、現状ではこれしか望めないと考える戦い方を貫いている。そしてそれは単純に「ワールドカップで結果を出してくれ」というオファーに対してなら、誠実な回答である。ところがメディアからは解任論が出た。指揮官は雇用者との間に微妙な食い違いがあることも感じ取っている様子だ。
 
 ハリル招聘に動いた技術委員長は既に退いてしまったわけだが、結局過去をどう総括し、どんな狙いでオファーを出したかは、明快に語られていない。JFAの最大の目標が、将来のベスト10やワールドカップ制覇なら、着実に世界との差を埋めていくことが焦点になる。しかしハリルホジッチ監督は、結果を請け負う典型的な勝負師だ。来年ロシアで最良の結果を求めるだけなら適任かもしれない。少なくとも惨敗を繰り返さないための準備なら、比較的順調に進んでいる。ただしお国自慢を競う見本市への出展としては、個性や驚きは少ない。
 
 日本がロシアで何を確認し、どんな成果を望むのか。代表至上の新興国だからこそ、そこは真剣に考える必要がある。

文:加部 究(スポーツライター)

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