何が起こるか分からないので、あと3年は本気で走る。
岩政 ワールドカップですか。23年だと熊谷選手は32歳。まだいける年齢ですね。
熊谷 ええ。そうなったら本気で考えます。
岩政 その頃には、守備に対する考え方が変わっているかもしれません。
熊谷 その年齢までに経験することはたくさんあると思うし、もう少し自分が上手く生きていける形が見つかるかもしれません。本当に何が起こるか分からないので、とりあえずあと3年は本気で走ろうと思っています。
―――◆―――◆―――◆―――
私がかじることができたのは、熊谷選手が見てきた景色のほんの一部です。しかし、私にとって非常に有意義なお話が聞けて、十分な充足感がありました。彼女はどれだけのものを得てきたのか、その深さは計り知れない。そんな印象を持ちました。
熊谷選手は常に挑戦できる場所に自ら身を置き、そこで「自分がどのようにしたら生きていけるか」を考え続けてきたと語ってくれました。
私は最近、「考える」にも様々な種類があると感じています。そして、成功してきた選手たちの「考える」は、みんな「自分がどのようにしたら生きていけるか」であるのではないか、とも。つまり、誰か他の人の正解に合わせるのではなく、自分なりの正解を見つける、ということです。
自分の武器は何か。その環境で自分に何ができるのか。それを探し、見つけ、そして生かす術を考える。熊谷選手がキャリアを通して貫いてきた生き方が、それをまた教えてくれました。
話している時、印象的だったのは頭の回転の早さです。私の質問に対し、パッと記憶を辿り、答えをすぐに用意していました。 本人は無意識だと思いますが、そのテンポに彼女の決断の早さ、判断の早さが見えました。
熊谷選手のキャリアは、まだまだこれから続いていきます。東京で行なわれるオリンピックをひとつの区切りとおっしゃっていましたが、彼女のこれからに一層注目していきたいと思います。
今回、熊谷選手の思考に少し触れることができた私は、彼女がこれから見ていく景色を、彼女の思考に入り込んで想像しようと思っています。私は彼女より随分歳上ですが、今後のキャリアを見ているだけでも、たくさんのことを学べそうな、そんな尊敬の念を抱きました。
<<了>>
【プロフィール】
熊谷紗希(くまがい・さき)/1990年10月17日、北海道出身。小学3年次に本格的にサッカーを始め、真駒内中を卒業後は、親元を離れて宮城県の常盤木学高に進学。高校2年次になでしこジャパンに選出され、2011年の女子ワールドカップ優勝、2012年のロンドン五輪準優勝に貢献。クラブレベルでは09年から浦和レッズレディースに所属し、11年にドイツにFFCフランクフルトへ。13年からフランスのリヨンに在籍し、15-16シーズン、16-17シーズンと女子チャンピオンリーグを連覇している。
岩政大樹(いわまさ・だいき)/1982年1月30日、山口県出身。J1通算290試合・35得点。J2通算82試合・10得点。日本代表8試合・0得点/鹿島で不動のCBとして活躍し、2007年からJ1リーグ3連覇を達成。日本代表にも選出され、2010年の南アフリカW杯メンバーに選出された。2014年にはタイのBECテロ・サーサナに新天地を求め、翌2015年にはJ2岡山入り。岡山では2016年のプレーオフ決勝に導いた。今季から在籍する東京ユナイテッドFCでは、選手兼コーチを務める。
熊谷 ええ。そうなったら本気で考えます。
岩政 その頃には、守備に対する考え方が変わっているかもしれません。
熊谷 その年齢までに経験することはたくさんあると思うし、もう少し自分が上手く生きていける形が見つかるかもしれません。本当に何が起こるか分からないので、とりあえずあと3年は本気で走ろうと思っています。
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私がかじることができたのは、熊谷選手が見てきた景色のほんの一部です。しかし、私にとって非常に有意義なお話が聞けて、十分な充足感がありました。彼女はどれだけのものを得てきたのか、その深さは計り知れない。そんな印象を持ちました。
熊谷選手は常に挑戦できる場所に自ら身を置き、そこで「自分がどのようにしたら生きていけるか」を考え続けてきたと語ってくれました。
私は最近、「考える」にも様々な種類があると感じています。そして、成功してきた選手たちの「考える」は、みんな「自分がどのようにしたら生きていけるか」であるのではないか、とも。つまり、誰か他の人の正解に合わせるのではなく、自分なりの正解を見つける、ということです。
自分の武器は何か。その環境で自分に何ができるのか。それを探し、見つけ、そして生かす術を考える。熊谷選手がキャリアを通して貫いてきた生き方が、それをまた教えてくれました。
話している時、印象的だったのは頭の回転の早さです。私の質問に対し、パッと記憶を辿り、答えをすぐに用意していました。 本人は無意識だと思いますが、そのテンポに彼女の決断の早さ、判断の早さが見えました。
熊谷選手のキャリアは、まだまだこれから続いていきます。東京で行なわれるオリンピックをひとつの区切りとおっしゃっていましたが、彼女のこれからに一層注目していきたいと思います。
今回、熊谷選手の思考に少し触れることができた私は、彼女がこれから見ていく景色を、彼女の思考に入り込んで想像しようと思っています。私は彼女より随分歳上ですが、今後のキャリアを見ているだけでも、たくさんのことを学べそうな、そんな尊敬の念を抱きました。
<<了>>
【プロフィール】
熊谷紗希(くまがい・さき)/1990年10月17日、北海道出身。小学3年次に本格的にサッカーを始め、真駒内中を卒業後は、親元を離れて宮城県の常盤木学高に進学。高校2年次になでしこジャパンに選出され、2011年の女子ワールドカップ優勝、2012年のロンドン五輪準優勝に貢献。クラブレベルでは09年から浦和レッズレディースに所属し、11年にドイツにFFCフランクフルトへ。13年からフランスのリヨンに在籍し、15-16シーズン、16-17シーズンと女子チャンピオンリーグを連覇している。
岩政大樹(いわまさ・だいき)/1982年1月30日、山口県出身。J1通算290試合・35得点。J2通算82試合・10得点。日本代表8試合・0得点/鹿島で不動のCBとして活躍し、2007年からJ1リーグ3連覇を達成。日本代表にも選出され、2010年の南アフリカW杯メンバーに選出された。2014年にはタイのBECテロ・サーサナに新天地を求め、翌2015年にはJ2岡山入り。岡山では2016年のプレーオフ決勝に導いた。今季から在籍する東京ユナイテッドFCでは、選手兼コーチを務める。