「身をもって知らないといけない経験ができた」(市立船橋・朝岡監督)
あるいはそこに油断が生まれるスキもあったのだろうか。本当に少しの部分だったには違いないが、「ワンプレーに対する思いの軽さが出た結果」(朝岡監督)が選手たちにのしかかることになる。ラストプレーで生まれた、よもやの同点劇。奇跡的なプレーにも見えたし、日大藤沢を褒めるべきだろう。
ただ、朝岡監督は矢印を自分たちに向ける。
「少しのこだわり、責任感が足りない。それはプレミアリーグから出ていたこと。それを徹底させられなかった」
少しのクリア、あと半歩の寄せ、ちょっとしたポジショニング、あるいはそもそもの起点となったFKを与えなければ……。杉山が「自分があそこでもっと声を出しておけば」と悔やんだように、ピッチにいた全員がそれぞれ違う形で脳裏に浮かべたであろう、それぞれの小さな後悔の一つひとつが合わさって、準決勝という大舞台での敗因は形作られていた。
伝統校の指揮官はこの敗戦を受け入れた上で、早くも次を見据えていた。「身をもって知らないといけない経験ができた」と“薬”を得たことを前向きに捉える。「(総体は)早く負けてしまうと試合数を積めなくて成長できないからね」と、準決勝という舞台でそれが起きたことについてもポジティブだった。
ディテールに宿る勝負の肝。敗戦という形でそれを痛感させられた市船の選手たちが残りの夏を通じてどう変わっていくのかどうか。まずは8月末に再開となるプレミアリーグ、そして冬の選手権に向けた脱皮を楽しみにしておきたい。
取材・文:川端暁彦(フリーライター)
ただ、朝岡監督は矢印を自分たちに向ける。
「少しのこだわり、責任感が足りない。それはプレミアリーグから出ていたこと。それを徹底させられなかった」
少しのクリア、あと半歩の寄せ、ちょっとしたポジショニング、あるいはそもそもの起点となったFKを与えなければ……。杉山が「自分があそこでもっと声を出しておけば」と悔やんだように、ピッチにいた全員がそれぞれ違う形で脳裏に浮かべたであろう、それぞれの小さな後悔の一つひとつが合わさって、準決勝という大舞台での敗因は形作られていた。
伝統校の指揮官はこの敗戦を受け入れた上で、早くも次を見据えていた。「身をもって知らないといけない経験ができた」と“薬”を得たことを前向きに捉える。「(総体は)早く負けてしまうと試合数を積めなくて成長できないからね」と、準決勝という舞台でそれが起きたことについてもポジティブだった。
ディテールに宿る勝負の肝。敗戦という形でそれを痛感させられた市船の選手たちが残りの夏を通じてどう変わっていくのかどうか。まずは8月末に再開となるプレミアリーグ、そして冬の選手権に向けた脱皮を楽しみにしておきたい。
取材・文:川端暁彦(フリーライター)