“アジア”に対して謙虚になれたことが、本大会でポジティブに作用するか。
誤算は幾つかあった。ひとつはA組のスリランカが出場を辞退してしまったことで、3チームで構成されるグループが生まれ、各組2位同士を比較する際に「4位チームとの対戦成績を削除する」ことになったこと。これで日本は初戦のフィリピン戦で稼いだ8-0の得失点差アドバンテージを喪失。中国戦は「負けたら敗退(かもしれない)」という微妙な状況になってしまい、やや余裕のない試合運びを強いられることになってしまった。
また、不在の選手が事前にフォーカスされていた一方で、参加した常連組にとっては逆にモチベーションという点で難しい面もあったかもしれない。フィリピン戦を終えたあと、ある選手が「相手が弱すぎる」とこぼしていたように、世界大会を意識してトレーニングに励んできた選手たちにとって第1戦のフィリピンも、第2戦のカンボジアも、物足りなさを覚える相手だったのは間違いない。こうした“世界とのギャップ”は第3戦の前半がなんとも“ぬるい”空気になってしまったことと無縁ではないように思う。別に油断していたわけではないだろうが、テンションが最高潮だったとは言えまい。
一方、中国のテンションは実に高かった。メインスタンドをほぼ埋めていた熱烈な応援による後押しに加え、彼らにとっては日本相手の活躍は自身の武名を高める絶好機。2戦目までの結果が悪かったことで、「勝つしかない」と開き直れていたこともポジティブに作用しているようだった。攻守両面でのアグレッシブなプレーぶりは彼らのチャレンジャー精神の裏返しで、どうにも気持ちが守りに入っていた印象の強い前半の日本とは対照的だった。
結果として突破できてはいるので、この点はポジティブに捉えておくべきだろう。五輪世代は国際親善大会も乏しく、強化の機会が絶対的に少ない。今回の中国がそうだったように、日本相手にむき出しの闘志で向かってくる相手との実戦機会を失わずに済んだ意味は、“3年後”に向けて僥倖だった。
「年上とはいえ、アジアでもまだまだ差がある部分があるというのが見えた。やっぱり簡単に勝たせてはもらえない」と原が語ったように、もう一度“アジア”に対して謙虚になれたことも、来年1月の本大会に向けて、結果としてポジティブに作用する可能性もある。新監督を迎えて臨むことになる同大会で、まずはどこまで勝ち抜けるか。2年前の同大会で、“手倉森ジャパン”初陣時は準々決勝での敗退となったが、今回はその上のステージまで体感しておきたいところではある。
取材・文:川端暁彦(フリーライター)
また、不在の選手が事前にフォーカスされていた一方で、参加した常連組にとっては逆にモチベーションという点で難しい面もあったかもしれない。フィリピン戦を終えたあと、ある選手が「相手が弱すぎる」とこぼしていたように、世界大会を意識してトレーニングに励んできた選手たちにとって第1戦のフィリピンも、第2戦のカンボジアも、物足りなさを覚える相手だったのは間違いない。こうした“世界とのギャップ”は第3戦の前半がなんとも“ぬるい”空気になってしまったことと無縁ではないように思う。別に油断していたわけではないだろうが、テンションが最高潮だったとは言えまい。
一方、中国のテンションは実に高かった。メインスタンドをほぼ埋めていた熱烈な応援による後押しに加え、彼らにとっては日本相手の活躍は自身の武名を高める絶好機。2戦目までの結果が悪かったことで、「勝つしかない」と開き直れていたこともポジティブに作用しているようだった。攻守両面でのアグレッシブなプレーぶりは彼らのチャレンジャー精神の裏返しで、どうにも気持ちが守りに入っていた印象の強い前半の日本とは対照的だった。
結果として突破できてはいるので、この点はポジティブに捉えておくべきだろう。五輪世代は国際親善大会も乏しく、強化の機会が絶対的に少ない。今回の中国がそうだったように、日本相手にむき出しの闘志で向かってくる相手との実戦機会を失わずに済んだ意味は、“3年後”に向けて僥倖だった。
「年上とはいえ、アジアでもまだまだ差がある部分があるというのが見えた。やっぱり簡単に勝たせてはもらえない」と原が語ったように、もう一度“アジア”に対して謙虚になれたことも、来年1月の本大会に向けて、結果としてポジティブに作用する可能性もある。新監督を迎えて臨むことになる同大会で、まずはどこまで勝ち抜けるか。2年前の同大会で、“手倉森ジャパン”初陣時は準々決勝での敗退となったが、今回はその上のステージまで体感しておきたいところではある。
取材・文:川端暁彦(フリーライター)