【黄金世代・復刻版】遠藤保仁メモリアル ~ シドニー五輪秘話「進撃の裏側で」(前編)

カテゴリ:特集

川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

2017年06月05日

「あんなに辛いもんだとは思ってなかった」。

スポーツ雑誌上で事実上の「選外」を知り、その後バックアップメンバーで招集され、胸をなでおろしたが……。(C)SOCCER DIGEST

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「モチベーションは低くなかったですよ。正直言って、どういう形にせよ来れてよかったってのが本音だったし、『選ばれなかった選手たちの代表』という意識もあったし。シドニーに行く前は、なにかを掴みとって帰ってこようという気持ちでいっぱいだった」
 
 飾らないいつもの口調で、遠藤はそう振り返る。
 
 大会直前の北海道合宿では、登録メンバーの正式発表を前にして、スポーツ雑誌上で事実上の『選考漏れ』を知ることとなった。
 
 諦めかけていた矢先、バックアップメンバーでの招集を受け、とりあえずホッと胸をなでおろしたという。いかなる状況が待ち受けているのか、そのときは考える余裕さえなかったのだろう。
 
 9月10日、日本五輪代表がキャンベラに到着する。冬を感じさせる気候のせいか、戸惑いの表情を見せる選手がちらほらいる。

 オーストラリア入りしてからというもの、フィリップ・トルシエ監督は怒りっぱなしだ。一向に上がってこない選手たちのモチベーションに対してで、チームにはピリピリとしたムードが蔓延していた。
 
 そして遠藤もまた、かつて経験したことのない日々をスタートさせていた。
 
「甘かった、とまでは言わないけど、あんなに辛いもんだとは思ってなかったですね。もちろんチームをバックアップするのがボクらの役目で、それは分かってるんだけど、どこに気持ちを持っていったらいいのか分からない。でもアピールするところではしなきゃいけないわけで、一方では、自分のなかにストレスもあるわけで。

 僕なんかはむしろ、ストレスの方を力に変えていったというか、そうするしかなかったんだけど……。ソガ(曽ケ端)なんてU-17、ワールドユースもバックアップで、今回が3回目だった。それでもキツかっただろうし、慣れるってもんじゃないと思う。

 試合が近くなって、みんな、プレッシャーを感じてたんじゃないかな。普段しゃべってるときはいつも通りなんだけど、緊張してたようには感じたし、どこかフツーじゃなかった。僕らにはプレッシャーがなかったぶん、余計にそう感じたのかもしれないけど」
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