プロスカウト注目の天才肌、渡井理己「静学の10番は輝かないといけない」

カテゴリ:高校・ユース・その他

安藤隆人

2017年05月01日

5-0の大勝にも猛省。生半可な輝きでは納得しない。

『高校サッカーダイジェスト春号』(5月12日発売)に寄せて、今季のテーマを書き綴ってくれた。写真:安藤隆人

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 後半、中京大中京が反撃に転じてピンチを招くなか、渡井は中盤まで落ちてボールを受けてはタメを作り、流れを変えるべく献身的なプレーを見せた。結果、劣勢の時間帯を耐え凌いだ静岡学園は、78分にMF伊藤稜馬が3点目をゲット。後半アディショナルタイムに2点を追加し、終わってみれば5−0の大勝を飾った。
 
「勝てたことは嬉しいですが、今日は点に一切絡めなかった。それでは仕事をしたとは言えません」
 
 試合後、渡井はこう話して唇を噛んだ。たしかにゴールには絡めなかった。しかし、ゲーム全体には関わり続けた。彼が前半、相手の傷口を広げたからこそチームは攻勢に転じ、後半は劣勢のなか、時間の作りどころとして機能したことで、反撃の時間を生み出した。間違いなく、ゲームの中心には背番号10の存在があった。
 
「やっぱり今日の出来はダメです。得点に絡むのが僕の特長なんで、結果が出なければできたとは言えません」
 
 静学の10番を背負う自覚と責任。
 
「静学の10番はチームで一番巧い選手じゃないといけないし、チームのなかで輝かないといけない。今日は輝けませんでした」
 
 生半可な輝きでは納得しない。その想いが選手を成長させ、より静学の10番の伝統と重みを高めていくのだ。
 
 苦しくも充実の表情を浮かべながら、渡井理己の華やかなシーズンは続く。
 
取材・文:安藤隆人(サッカージャーナリスト)
 
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