1部リーグ復帰まであと一歩! シュツットガルトを支える全選手の献身性

カテゴリ:連載・コラム

中野吉之伴

2017年04月28日

「ゴールに絡むよりハードワークをしろと言われている」(浅野)

チームを復活させたマクシム(右)。その真摯な姿勢は、浅野(左)ら若い選手にも良い影響を与えているはずだ。 (C) Getty Images

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 ボルフ監督は、冷遇したマクシムの復活に「アレクサンドルには、『起用しなかった俺に腹を立てても構わない。でも、チームやファンに対しては勘弁してくれ』と言ったんだ。彼は全てを、試合にぶつけてくれたよ」と正直な言葉を残し、その活躍を喜んだ。
 
 中盤で攻撃の舵を取るマクシムが入ったことで、両サイドの選手もより良いかたちでボールをもらえるようになった。この試合で左サイドの攻撃的なポジションでスタメン出場を果たした浅野も、切れ味鋭いドリブル突破で、前半に何度も好チャンスを作り出している。
 
 仕掛けようにもスペースがなかったり、展開しようにもサポートがなかったりした以前と比べると、チームとしてのゲームプランに大きな進歩が見て取れた。
 
 浅野は後半に入ると、疲れからか少し動きにキレが見られなくなり、65分に途中交代。「後半入って急激に質が落ちたなと、僕も感じてたんで。監督の判断は仕方ないですけど、もうちょっとやりたかったなとは思います」と苦笑いした彼は、こうも語っている。
 
「与えられている役割を果たせないと、次には行けないと思います。今はゴールに絡むというよりは、ハードワークをどんどんしろと言われています。監督が求めていることをやるべきだと思います」
 
「ディフェンスでしっかり戻って、攻撃になったらまた出ていく。そこは徹底してやっていかないと。これは、こっち(ドイツ)に来てサイドをやるようになって、身についたことだと思います」
 
 個人としてやりたいこと、示したいプレーはたくさんある。だが、それがチームのためにプラスに働くのかどうか。マクシムも「今、大事なのは個人じゃない。クラブ、街、そしてファンのために、来夏からまた1部リーグでプレーすることが大切なんだ」と、チームへの思いをまず口にする。
 
 残すは4試合。昇格、そして優勝に向けて、チーム一丸でラストスパートをかける。
 
文:中野 吉之伴
 
【著者プロフィール】
なかの・きちのすけ/1977年7月27日秋田生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで様々なレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA−Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2016-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。「ドイツ流タテの突破力」(池田書店)監修、「世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書」(カンゼン)執筆。最近は日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。
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