【黄金世代・復刻版】1999 U-20日本代表メモリアル「最強の名のもとに」前編

カテゴリ:日本代表

川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

2017年04月26日

唸るほどのプレーの連続に「期待で身震いがしてくる」。

U-17ナショナルトレセンでは稲本がMVPを受賞(左は大仁・前JFA会長)。どの選手も危機感を感じるほど、個々のプレーの質は高かった。(C)SOCCER DIGEST

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 ナショナルトレセン恒例の東西対抗戦。小野伸二や高原直泰など、当時すでにユース年代で有名だった選手は欠場していたが、稲本潤一、本山雅志、小笠原らの個人技、戦術眼の高さに、唸らされるシーンの連続となった。17歳にして彼らは“魅せるプレー”を心得ていたのだ。
 
「高い能力を持つ素材が、かつてこれほど集まったことはないんじゃないかな。なんかこう、期待で身震いがしてくるよね」
 
 トレセンのチーフを担当していた上田栄治氏も、どうやら同じ心境だったようだ。
 
 ゲームは西軍の勝利に終わり、稲本がMVPに選出された。
 
「こんな賞をもらってエエんかな。でもオイシイ(笑)。大きく取り上げてくださいね。ただでさえボクなんか、クラブユースでやってるから地味な存在やし」
 
 自己アピールだけは大人顔負けである。誰よりも目立ちたい。そして、誰よりも巧くなりたい。強烈な個性派集団は、すでにそのスタートを切っていた。
 
―――◆―――◆―――
 
 年が明け、彼らはU-18トレセン選抜としてニュー・イヤー・ユースを戦う。惜しくもひとつ歳上の日本高校選抜に優勝はさらわれたが(PK戦で敗れ準優勝)、チーム戦術などまったくない状況でもしっかりとサッカーをやっていた。高校選抜との一戦でPKを外した小野は、
 
「イカンですねぇ。もうボクは選ばれないかもしれない」
 
 と笑っていた。そんなことは九分九厘ないだろうが、すでに“20世紀最高の逸材”と謳われていた選手のコメントには、どこか真実味があった。彼らでさえプレッシャーを感じるほど、個々のプレーの質が高かったのである。
 
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