• トップ
  • ニュース一覧
  • ベルルスコーニ・ミランの31年(前編)「無名のサッキとカペッロ、オランダトリオで世界を席巻」

ベルルスコーニ・ミランの31年(前編)「無名のサッキとカペッロ、オランダトリオで世界を席巻」

カテゴリ:メガクラブ

片野道郎

2017年04月18日

監督経験がほぼ皆無だったカペッロの博打も当たる。

サッキ・ミランの象徴が(右から)ファン・バステン、ライカールト、フリットとのオランダトリオだった。(C)Getty Images

画像を見る

 サッキ・ミランは、縦横両方向に圧縮されたコンパクトな3ラインの布陣が一体となって、前線からアグレッシブなプレッシングを敢行し、敵からボールをプレーするための時間とスペースを奪い取ってしまう。苦し紛れのロングパスは、名手フランコ・バレージが統率する一糸乱れぬオフサイドトラップの格好の餌食になるだけだった。
 
 奪ったボールは素早くサイドに展開して、パス3本でフィニッシュまで持ち込んでしまう。相手はまったくサッカーをさせてもらえないまま、ミランの圧力に押し潰されるだけだった。
 
 スローなリズムの中でジーコ、マラドーナ、ミシェル・プラティニといったアーティストたちが華麗なテクニックや創造性を競っていた旧来のサッカーは、それからほんの数年の間に、「サッキのミラン」が先駆けとなったハイテンポな展開の中でアスリートたちがスピードと運動量を競うモダンフットボールによって、ほぼ完全に駆逐されることになる。
 
 1991年、サッキがイタリア代表監督に転身してミランを去った時、ベルルスコーニが後釜に選んだのは、それまで監督経験がほとんどなかったファビオ・カペッロだった。
 
 カペッロは1980年にミランで現役を引退した後、育成部門コーチを経て、ベルルスコーニがミラン買収後に設立した総合スポーツクラブ『ポリスポルティーバ・メディオラヌム』(野球、ラグビー、バスケットボール、バレーボールなどのセミプロチームを持っていた)の総責任者を務めており、トップチームを率いた経験は、サッキ就任の前年(86-87)、シーズン終盤にニリス・リードホルム監督が解任された後を受けた、たった5試合だけしかなかったのだ。
 
 だがカペッロは、就任1年目にセリエA無敗優勝を達成すると、続く4シーズンで3回のスクデット、そして93-94シーズンには「ドリームチーム」(クライフ率いるバルセロナ)を決勝で4-0と完膚無きまでに叩きのめしてCL優勝を勝ち取るなど、「リ・インヴィンチービリ」(無敵軍団)と呼ばれる一時代を築くことになる。
【関連記事】
ベルルスコーニ・ミランの31年(後編)「アンチェロッティ時代の栄光、そして斜陽と終焉へ」
「チャイナ・ミラン」の未来は? 新首脳陣がドンナルンマやスソの去就、大物獲得の可能性に言及
ついにミランも中国資本に…セリエA「外資参入」の背景とは?
「血尿を出しながらプレーしていた」アトレティコMFが衝撃的な過去を明かす
日本サッカーを彩る「美女サポーター」たちを一挙に紹介!

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト 王国の誇りを胸に
    4月10日発売
    サッカー王国復活へ
    清水エスパルス
    3年ぶりのJ1で異彩を放つ
    オレンジ戦士たちの真髄
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 特別企画
    5月1日発売
    プレミアリーグ
    スター★100人物語
    絆、ルーツ、感動秘話など
    百人百通りのドラマがここに!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 完全保存版
    1月17日発売
    第103回全国高校サッカー選手権
    決戦速報号
    前橋育英が7年ぶりの戴冠
    全47試合&活躍選手を詳報!
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ