今節で少し光が見えたクラブ、監督交代も実を結ばないクラブ…

武藤(左端)の3節以来のゴールが飛び出したライプツィヒ戦では、久々に良さが出たマインツだが、試合は2-3で落としている。武藤が語ったように、結果に一喜一憂せず、良さを継続していけるかどうかが、今後の彼らの運命を決める。 (C) Getty Images
そう考えると、危ないのはマインツとアウクスブルクの2チームだ。後半戦の順位では完全に下位に低迷しており、このままではどちらかが17位、もう一方が16位で入れ替え戦に回るという可能性は十分に考えられる。
そんななか、今節で多少は浮上しそうな雰囲気を見せたのがマインツだ。
ここ最近は、特長だったハードワークと素早い攻守の切り替えがさっぱり影を潜めていた。動きのないマインツは全く怖くなく、1トップで身体を張るコロンビア代表ジョン・コルドバ任せのサッカーは、相手に完全に読まれてしまっている。
特に攻撃力不足が顕著で、DFシュテファン・ベルは「誰も前に押し上げていかないからチャンスが作れない」とこぼしていたものである。
しかし、水曜日に行なわれたRBライプツィヒ戦では、少し光明が見られた。2位の相手に、前半は非常にアグレッシブなサッカーでゴールチャンスを作り出せていたのだ。最終的に守備のミスで負けてしまったが、試合内容としては希望が持てるものだった。
また、途中出場した武藤嘉紀が久しぶりのゴールを決めたのも大きい。
ここ最近は出場機会に恵まれていなかった武藤だが、交代直後のプレーで相手からボールを奪い取ると、すぐにスペースに走り出してゴールチャンスを演出したり、ゴールシーン以外でもきわどいヘディングシュート(ポスト直撃)を放ったりと、一つひとつのプレーに迫力があった。
「自分が最初から出たら、最初の45分で1点取って、チームとして落ち着いてプレーできるようにしていかないと」と力強く語っていた武藤の存在が、不振のチームにとっては刺激になるはずだ。
一方のアウクスブルクは深刻だ。昨年12月のディルク・シュスターからマヌエル・バウムへの監督交代劇が、結果に結び付いていない。
攻撃サッカーへのシフトチェンジを図った分、確かにゴールチャンスは作り出せるようになっている。だがその分、守備が不安定となり、失点数は増え続ける一方。今節のインゴルシュタット戦でも、守備陣のミスであっさりとゴールを献上していた。
バランスを良くしようと、このところ5バックシステムを導入しているバウム監督だが、一向に機能性が上がらず、各選手の距離は曖昧で、攻撃にも悪影響を及ぼしている。負傷がようやく癒えたアイスランド代表アルフレッド・フィンボガソンも、まだ完全調子からは程遠い。
最後の3節の相手が、ボルシアMG、ドルトムント、ホッフェンハイムという上位チームばかりであることを考えると、それ以前に対戦するヘルタ・ベルリン、ケルン、フランクフルト、ハンブルクから、最低でも2勝を挙げることが必要になる。
最悪の場合、このまま1勝もできないまま、1部リーグとはお別れになってしまうかもしれない……。
文:中野 吉之伴
【著者プロフィール】
なかの・きちのすけ/ドイツ・フライブルク在住の指導者。2009年にドイツ・サッカー連盟公認のA級コーチングライセンス(UEFAのAレベルに相当)を取得。SCフライブルクでの研修を経て、フライブルガーFCでU-16やU-18の監督、FCアウゲンのU-19でヘッドコーチなどを歴任。2016-17シーズンからFCアウゲンのU-15で指揮を執る。1977年7月27日生まれ、秋田県出身。
そんななか、今節で多少は浮上しそうな雰囲気を見せたのがマインツだ。
ここ最近は、特長だったハードワークと素早い攻守の切り替えがさっぱり影を潜めていた。動きのないマインツは全く怖くなく、1トップで身体を張るコロンビア代表ジョン・コルドバ任せのサッカーは、相手に完全に読まれてしまっている。
特に攻撃力不足が顕著で、DFシュテファン・ベルは「誰も前に押し上げていかないからチャンスが作れない」とこぼしていたものである。
しかし、水曜日に行なわれたRBライプツィヒ戦では、少し光明が見られた。2位の相手に、前半は非常にアグレッシブなサッカーでゴールチャンスを作り出せていたのだ。最終的に守備のミスで負けてしまったが、試合内容としては希望が持てるものだった。
また、途中出場した武藤嘉紀が久しぶりのゴールを決めたのも大きい。
ここ最近は出場機会に恵まれていなかった武藤だが、交代直後のプレーで相手からボールを奪い取ると、すぐにスペースに走り出してゴールチャンスを演出したり、ゴールシーン以外でもきわどいヘディングシュート(ポスト直撃)を放ったりと、一つひとつのプレーに迫力があった。
「自分が最初から出たら、最初の45分で1点取って、チームとして落ち着いてプレーできるようにしていかないと」と力強く語っていた武藤の存在が、不振のチームにとっては刺激になるはずだ。
一方のアウクスブルクは深刻だ。昨年12月のディルク・シュスターからマヌエル・バウムへの監督交代劇が、結果に結び付いていない。
攻撃サッカーへのシフトチェンジを図った分、確かにゴールチャンスは作り出せるようになっている。だがその分、守備が不安定となり、失点数は増え続ける一方。今節のインゴルシュタット戦でも、守備陣のミスであっさりとゴールを献上していた。
バランスを良くしようと、このところ5バックシステムを導入しているバウム監督だが、一向に機能性が上がらず、各選手の距離は曖昧で、攻撃にも悪影響を及ぼしている。負傷がようやく癒えたアイスランド代表アルフレッド・フィンボガソンも、まだ完全調子からは程遠い。
最後の3節の相手が、ボルシアMG、ドルトムント、ホッフェンハイムという上位チームばかりであることを考えると、それ以前に対戦するヘルタ・ベルリン、ケルン、フランクフルト、ハンブルクから、最低でも2勝を挙げることが必要になる。
最悪の場合、このまま1勝もできないまま、1部リーグとはお別れになってしまうかもしれない……。
文:中野 吉之伴
【著者プロフィール】
なかの・きちのすけ/ドイツ・フライブルク在住の指導者。2009年にドイツ・サッカー連盟公認のA級コーチングライセンス(UEFAのAレベルに相当)を取得。SCフライブルクでの研修を経て、フライブルガーFCでU-16やU-18の監督、FCアウゲンのU-19でヘッドコーチなどを歴任。2016-17シーズンからFCアウゲンのU-15で指揮を執る。1977年7月27日生まれ、秋田県出身。