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【甲府】計算不能な新助っ人――エデル・リマに与えられた”特権”と、そのポテンシャルとは

カテゴリ:Jリーグ

大島和人

2017年04月04日

指揮官曰く「困ったときにひとりで行って、何とかしちゃう」。

吉田監督によるチーム改革は着実に進んでいる。写真:徳原隆元

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 札幌戦でエデル・リマと最終ラインを組んだ新井涼平は「独特なリズムでサッカーをしている」と彼を評する。札幌戦のボレーもそうだが、私たちの感覚だと届くはずのないボールに彼は足が伸びて届く。
 
 また山本が「本気で走れば足は相当速い」と評する俊足と、ドリブルやステップに振り切られずついていく動きの粘りもある。187センチ・73キロという細身で単純な強さはあまり期待できないが、相手からボールを絡めとる独特の間合いがある。
 
 エデル・リマのプレーの中で最も“独特”なのはドリブルだ。「CBが自陣からドリブルする」ことは基本的にNGだが、彼は大宮戦でも自陣からの30メートル近いロングドリブルを成功させた。しかもコースを切られているように見える状況から、割り込むような突破を決めてしまう。
 
 まさに“独特”としか形容のしようがない“にゅるにゅる”した身体の使い方で相手をいなし、それでいて上半身はしっかり立って、ボールが足下から離れない。日本サッカーの常識では「閉じられている」はずのスペースを、彼は悠然と使ってしまう。
 
 甲府は札幌に2-0で勝利したが、試合の吉田監督は「シンプルにプレーするべきところをひとりで頑張るというか、少しいいことをしようとする浮つきは排除していかないといけない」と課題を口にしていた。実際に新井、新里亮といったCBの“持ち過ぎ”からピンチを招くシーンが前半に何度かあった。
 
 しかしエデル・リマのプレーについて尋ねると指揮官はこう返してきた。「リマのところは許容しているというか、ああいう特徴だと選手にも言っている。困ったときにひとりで行って、何とかしちゃうので。だからリマが運び出した時にどうするかを周りのメンバーに共有している。あれを日本人に『やれ』と言っても出来ないし、普通じゃないから。それはそれとしていいなと思っている」。
 
 どちらかと言えば後ろが重い、前への推進力が乏しい甲府にあって、彼の意外性に富んだ攻撃参加はいいアクセントになっている。怪我明けの3試合目であれだけできるということも、ポテンシャルの証明だろう。
 
 硬かった表情も『微笑』くらいは浮かぶようになってきた。新井も「試合で隣に入ってみると自分を持っているし、思っていることを伝えようとしている。やりたいことを伝え合うことはできる」と説明するように、決して周りに対して閉じたタイプではない。
 
 3試合のプレーで評価を云々するのはナンセンスだろう。ただし彼の独特なプレーは単純に見ていて面白いし、甲府や日本サッカーでは見たことのなかった“何か”が間違いなくある。堅くて退屈なスタイルから徐々に脱皮しつつある新生ヴァンフォーレの中でも、意外性あふれるエデル・リマのプレーには要注目だ。
 
取材・文:大島和人(球技ライター)
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